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<ダークホース探訪> フィオレンティーナ 「セリエCからの逆襲」 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byRyu Voelkel(T&t)

posted2010/03/01 10:30

<ダークホース探訪> フィオレンティーナ 「セリエCからの逆襲」<Number Web> photograph by Ryu Voelkel(T&t)

バール『マリーザ』に飾られているルイ・コスタとバティの写真

ベテランをおしのけて新主将に就いた25歳のMFモントリーボ。

 しかし、そんな手厳しいファンをも納得させる選手が一人いる。25歳のミッドフィルダー、リカルド・モントリーボだ。

 ローマ戦、モントリーボは敗戦にもかかわらず、伊全紙の採点で最高の評価を受けた。今ではイタリア代表の先発に、との声も多い。

 これまでのモントリーボは好不調の波が激しく、それが評価を分けた主な理由だった。しかし今季は運動量も増え、攻守の中心には常に彼の姿がある。

 変貌のきっかけの一つは、キャプテン就任にあった。

 今冬、それまでの主将ダイネッリがジェノアに去り、副主将のヨルゲンセンも出場機会を求めデンマークへと戻っていった。

 そんなある日、ロッカールームで、新主将を決めるミーティングが行なわれた。選手全員が、主将にふさわしい選手の名前を紙きれに書いていく。結果、ベテラン選手をおしのけて選出されたのが、モントリーボだった。

「このクラブの歴史に残るキャプテンになりたいんだ」

「ヨルゲンセンとダイネッリの移籍はチームにとって大きなマイナスだった。でも今のチームキャプテンは自分だ。これからは自分がチームを引っ張らないといけない」

 彼は就任後にこう語っている。10年前、同ポジションでプレーしたルイ・コスタも「今季のモントは見違えるようだ。フィレンツェはようやく本物のMFを見つけたね」と話していた。そんなモントリーボにはいま、楽しみにしている試合があるという。

「バイエルンは勝てない相手ではない。何かを勝ちとって、このクラブの歴史に残るキャプテンになりたいんだ」

 ガゼッタ・デッロ・スポルト紙の番記者として毎試合フィオレンティーナを取材するマッテオ・ダッラ・ビーテの目にも、新主将の変貌は大きな収穫として映った。

「今季の一番の変化はモントリーボだろう。ローマ戦のプレーは間違いなく、所属した5年間で最高のパフォーマンスだった。これを続けてくれれば、バイエルン戦でも大きな武器になると思うよ。今のモントリーボは欧州に誇れるレベルにある」

【次ページ】 “ロベルト・バッジョの再来”と言われる弱冠20歳のアイドル。

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