恩師の大八木弘明総監督から監督の職を引き継いで2年目だった昨季。駅伝シーズンを終わってみれば、三大駅伝全てで2位という結果を残しました。春先にチームは絶不調も、そこから立て直し、駅伝で好成績を残せた理由とは何か。主将の篠原倖太朗選手の走り、故障から復活したエース・佐藤圭汰選手、躍動したルーキーズ、育成の世代の台頭、新シーズンの意気込みなど約58分じっくりとお話をうかがいました。
『育成の年』――藤田敦史監督は今シーズンをこう位置付けたものの、前半戦はなかなか目立った活躍を見せられませんでした。
「鈴木芽吹(現・トヨタ自動車)たちの代がごそっと抜けて、もう1回チームを作っていかなければいけない状況のなか春先から苦戦し、駅伝はどうなるかなっていう状況でした」
今季の駅伝シーズンは藤田監督も苦戦を覚悟していました。ところが、一夏を越えて駅伝シーズンを迎えると、指揮官の懸念は杞憂に終わります。エース格の佐藤圭汰選手を欠きながらも、出雲駅伝と全日本大学駅伝は2位と奮闘。そして、箱根駅伝は、青山学院大に敗れはしたものの、終盤まで食い下がって2位でフィニッシュしました。
「勝つことはできなかったんですけど、バランスの良い駅伝、次年度につながる駅伝ができたっていう評価はできると思います。下の世代の子たちが頑張ってくれて、箱根駅伝では1年生、2年生が半分の5人を占めました。育成っていう部分がうまく行った結果」
箱根駅伝では、往路の3区、4区をルーキーの谷中晴選手と桑田駿介選手が好走し、復路では終盤の8区、9区、10区を安原海晴選手、村上響選手、小山翔也選手の2年生がきっちりと区間上位でまとめて復路優勝を果たしました。苦しんだシーズンの終わりに下級生の台頭があり、藤田監督は『育成』に手応えを口にしていました。
「篠原がチームを引っ張ってくれたおかげ」
藤田監督がチームの最大の功労者に挙げたのが主将の篠原倖太朗選手です。
「篠原が夏合宿以降しっかりチームを引っ張ってくれたおかげで、ここまで来ることができた。これはもう間違いのない事実です」

チームの大黒柱の篠原選手には、箱根駅伝で花の2区を託しました。決して上りが得意ではない篠原選手が、2区終盤の“戸塚の坂”に挑むのを見て、藤田監督は思わず感極まったといいます。
「きついのはわかるんですよ。(最後の上りを)見ていて、全然動かないっていうのが……。それでも駒澤に何かを残していこうっていう思いで走ってくれていた。それがすごく伝わってきました。やっぱりすごい選手だったなと思いましたね、改めて」
その篠原選手は、2月の香川丸亀国際ハーフマラソンで従来の日本記録を上回る日本学生新記録を樹立。卒業した頼れる大エースの穴を埋めるのは決して簡単ではありませんが、残る選手たちも躍動を見せています。
丸亀ハーフと併催の日本学生ハーフマラソン選手権では、帰山侑大選手が1時間00分32秒の好記録で4位に入り、谷中選手も1時間00分台。また、桑田選手、山川拓馬選手、村上選手が1時間1分台といずれも自己ベストをマークしました。さらに⽇本選⼿権クロスカントリー競⾛(シニア男子10km)では、伊藤蒼唯選手が積極的にレースを進め4位と健闘しました。幸先良く、新チームは始動しています。
「今年は狙わないといけない年。青学さんが山の2区間抜けるので、他の大学からしすれば付け入る隙は十分ある。今年勝てるようにしっかり準備をしたいと思います」
動画では、今年の箱根駅伝の振り返りや新シーズンの展望だけでなく、さまざまな話題に及んでいます。
- 次回の箱根駅伝。新主将・山川拓馬は2区?5区?
- 山上り、山下り育成の難しさ
- 佐藤圭汰の「格」とは何か
- 駒大のエースは意図的に「育てるもの」。どういう意味か?
- 桑田と伊藤がGgoatのテスト生。ハイブリット体制での強化
- 主力に成長した帰山侑大
- 丸亀ハーフ(兼学生ハーフ)で好記録ラッシュ
- 注目の800m日本記録保持者・落合晃が入学
- 落合以外で監督が期待する新入生は?
- 大学生のマラソン挑戦&好記録が続々。駒大勢は…?
2022年度に学生駅伝三冠を成し遂げて以降、駒大は三大駅伝で1位と2位しか獲っていません。今回、改めて藤田監督のお話をうかがっていくと、記録や成績だけではない、駒大の安定した強さの秘密が見えてきました。ぜひご覧ください。
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