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【動画】「梅崎、石田とタスキをつなぐつもりで…」東洋大・酒井俊幸が語った“鉄紺の意地”の正体と厚底シューズの難しさ「ヴェイパー4がなければ」《インタビュー》

2025/02/25
 Numberが注目する箱根駅伝出場校の監督を動画でインタビューする「駅伝監督」シリーズ、今回は101回大会で総合9位に入り、20年連続のシード権を死守した東洋大学の酒井俊幸監督が登場です。
 急きょ往路メンバーを4人入れ替えるという年明けの"非常事態"を詳細に振り返るとともに、走れなかった主将・梅崎蓮選手への思い、選手たちの足元を支えた最新シューズのこと。そして、入学時から世代ナンバーワンとして注目された石田洸介選手が向き合った困難についてなど、さまざまな角度から53分間じっくりとお話をうかがいました。

 1月2日の早朝、各大学の当日エントリー変更が発表された時、記者やファンの間で戦慄が走りました。東洋大は4区の岸本遼太郎選手をのぞき、最大変更人数の4選手を替える異常事態。1区の石田洸介選手はコンディションが整わず、12月中旬に起用を見送ることが決まっていたものの、主将を務める2区・梅崎蓮選手も大会直前にアキレス腱の違和感を訴え、出場できなくなったのです。

「石田、梅崎というチームの大黒柱に加えて、松井(海斗)、松山(和希)も含めると主力4人を起用できませんでした。1~3区の最終オーダーが決まったのは1月1日。ですからコースをほぼ見られず、ぶっつけ本番だった選手もいるんです。ただ、選手たちは非常に落ち着いていて、心強かったですね。むしろ私のほうが最後まで『どうやりくりしよう』と考えていたので」

 往路は1区・小林亮太選手が11位発進。2区の緒方澪那斗選手は区間20位と苦しい走りとなり、チームは19位まで順位を下げました。「もう難しいのでは…」と取材者側が思ったのも束の間、3区から5区を一桁順位でつなぎ、往路を9位でフィニッシュ。

4区で区間3位。シード権獲得に大きく貢献した岸本 photograph by Yuki Suenaga
4区で区間3位。シード権獲得に大きく貢献した岸本 photograph by Yuki Suenaga

 そして復路では、近年稀に見る激戦となったシード権争いを勝ち抜き、継続中の記録では最長となる20年連続シードを獲得。まさに「その一秒を削り出せ」とのスローガンを体現する走り、鉄紺の「意地」を強く感じるレースでした。

「石田は、復路でもいいから起用したかった」

 酒井監督自身も、選手たちに宿った"目に見えない力"をこのように振り返ります。

「石田は、本当は復路でもいいから起用したかったんです。でも不十分なままスタートラインに立たせることは、彼のキャリアにマイナスになってしまう。彼と話をすると『チームのサポートに徹します』と言ってくれました。そして全日本以降、最も黙々と練習をこなし、チームに背中を見せていたのは梅崎でした。その二人が走れなくなり、下級生たちが『4年生のために』と思ったのが、各区間の最後の粘りや、1秒を削る走りにつながったのかなと。石田、梅崎は出走は叶いませんでしたが、下級生たちが彼らとタスキをつなぐような感覚で走ったのだと思います」

 そして、話題はレースの総評とともに、選手の足元を支える「厚底シューズ」にも及びました。今回、東洋大は8区区間2位の網本佳悟選手、4区区間3位の岸本遼太郎選手ら好走した4名が、ナイキの最新作「ヴェイパーフライ4」を着用。酒井監督からは「これを履けなかったら20年連続シードは取れなかったんじゃないかな」という、驚きの言葉も飛び出しました。

 2017年にナイキからヴェイパーフライが登場して以降、各社が次々と開発に乗り出し、同じメーカー、シリーズでも毎年のように進化、変化する厚底シューズ。"厚底群雄割拠"とも言える時代では、選手たちが自分に合ったシューズを見極める能力が試されています。

「エンジンや心肺機能の強化は練習でもやりますが、足回りがガッチリしないと鍛え上げたものを100%出せません。何より箱根駅伝は20キロ超ありますから、これが合わないシューズとなると、秒どころではなく1分の差になってきます。総合タイムが上がっているのは、シューズのマッチングがしっかりできていることもあるのではないでしょうか」

photograph by Yuki Suenaga
photograph by Yuki Suenaga

新チームが目指す「鉄紺」のかたちとは?

 動画では、ほかにもさまざまな話題について語っています。

  • 6人変更…箱根の"本当"のオーダーは?
  • 「これで走ってもいいですか?と…」網元選手の"シューズ変遷"
  • 1区・小林選手の隠れたファインプレー
  • 新チームが目指す「鉄紺」のかたち
  • 個性豊かだけどキャプテンタイプ不在? 新4年生に求めるもの
  • 期待する新1年生たち
  • 服部兄弟を超える"感覚"の鋭さ。監督が語る石田洸介の「箱根後」

 Numberのインタビューで、走りが良い時の感覚と今の自分との"ズレ"に悩んだことを語っていた石田選手。彼の四年間を見つめた酒井監督ならではの分析も、非常に興味深いものでした。また、レベルが高騰する箱根駅伝、100%と言えるほど普及した厚底シューズの「現在地」についても、酒井監督の視点で紐解いていただきました。ぜひご覧ください。(2月13日取材)

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