NumberPREMIERでは日本大学を選手視点からも徹底解剖。近日中に主将・中澤星音選手(4年)、波照間島出身の大仲竜平選手(4年)の動画インタビューも公開予定だ。
学生駅伝界の「名門」「古豪」などと称される日本大学は、箱根駅伝で12回の総合優勝を誇る。その優勝回数は、平成以降旋風を巻き起こしている青学大や駒澤大を上回るものだ。
しかしながら、第50回大会(1974年)を最後に半世紀以上も優勝から遠ざかり、近年は第97回から99回まで3大会連続で本大会出場を逃すなど低迷。さらには、2022~2023年には監督不在の期間があり、また理事長(当時)の脱税が発覚するなど大学自体の屋台骨も揺らいでいるような状況で、かつての名門は混迷を極めていたといっていい。
その大混乱の中、駅伝部の指揮官として白羽の矢が立ったのが新雅弘氏だった。

新氏は、岡山・倉敷高を全国屈指の強豪校に仕立て上げた名将。22年の暮れの全国高校駅伝で3度目の日本一に輝いた後に、定年を迎えていたこともあって監督を退き、新たに同校の外部アドバイザーに就いたばかりというタイミングで、オファーが舞い込んできた。
「僕も大学4年間お世話になったから、なんとか恩返しがしたいと思って(日大に)きました。すごい野望があるわけではなく、今いる選手をなんとかしてあげたいという気持ちでしたよね」
高校では数々の実績を上げた新監督とはいえ、大学生の指導は初めてのこと。だが、他校の指導者に話を聞いたり、練習メニューを参考にすることなどはなかったという。
「高校のことなら分かるんですけど、大学がどんなもんかは全然分かりません。自分に何ができるかなっていう不安もありましたが、イチからなので、自分がやりたいように、この2年半やってきました」
とはいえ、就任したばかりの頃は、倉敷高校で課していた練習でも「3~4人ぐらいしかこなせない」状態。箱根駅伝に復帰するまでに「3年はかかる」と考えていたそうだ。
そんな想定とは裏腹に、就任1年目の秋に箱根予選会を突破。いきなり成果を上げた。
「来た時は本当に競技レベルの低いチームでした。考え方も、そうでした。でも、彼らは“見てもらうこと”に飢えていたんです。指導者を待っていた。急に体制が変わると、反発があると聞きますけど、一切なかった。本当に真面目に、こつこつこつこつと、純粋に取り組んでくれるんです。だから結果が出るんだと思いますね」
今季は『3年計画』の3年目。練習グループは選手各自が選択するなど、一方的に練習メニューを与えるだけではなく、選手たちの「意識」を刺激するやり方を模索している。まだまだ土台を作っている段階だと言うが、3年ぶりに全日本大学駅伝に出場し、箱根駅伝予選会はトップと34差の4位で通過するなど、今季のスローガンでもある「古櫻復活」に向けて一歩一歩着実に歩を進めている。

そして監督自身も62歳になって岡山から単身赴任、学生たちと一緒に寮に住み込んでいる。倉敷高校時代から通算すると陸上部寮での生活は39年目になるという。取材陣が「つらくないですか?」と質問を投げかけると、「気楽なもんですよ!」と笑顔で炊事、洗濯などの日常についても教えてくれた。
動画では、以下のようなトピックについて触れている。
- 予選会「4位」通過も、厳しい言葉をかけた理由
- 予選会で主力2人に起きたアクシデントとは?
- 指導に飢えていた選手たちとの「距離感」
- 1年目で箱根出場は「びっくり!」。強豪復活はこれから
- 練習は1日4時間。大事なのは「残り20時間」の過ごし方
- 「みんながエースになって」の真意とは?
- 前回箱根は1月2日朝に「お手上げ」状態だった理由
- シード権を獲りにいくのは今年? 来年?
- 倉敷高時代の教え子、駒大・桑田の強さ
- 寮、食事…自信を持って勧誘できる環境は整った
- 「火中の栗を拾う」大学指導者転身は母校への恩返し
3年連続92回目の箱根駅伝に挑む日大。この3年間の歩みを指揮官自身が振り返った約50分間のロングインタビューは、駅伝ファン必見だ。(11月19日取材)
※配信画面は、NumberPREMIERにご入会いただき、ログインをしていただくと本ページ上部に表示されます。他の動画も見放題、記事も読み放題です。
プラン紹介
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
このシリーズの動画を見る
記事


