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【動画】「夏合宿から2年生を中心に」酒井俊幸監督に聞く“鉄紺復権”への道筋、箱根駅伝で狙う総合タイム「柏原竜二世代より練習はできているから」《徹底解剖:東洋大学2025⑤》

2025/12/12

 箱根駅伝に挑む指揮官を動画でインタビューする連載「駅伝監督」に、東洋大学・酒井俊幸監督が登場。このシリーズでは夏合宿での取材に続く、今季2度目のインタビューとなる。18大会ぶり、酒井監督就任後としては初めて全日本大学駅伝の出場を逃し、秋は出雲駅伝のみの出場となった東洋大。全日本のレース当日、そしてこの秋をどう過ごしたのか。そして「次期エース」と期待する松井海斗への率直な評価、復調してきた4年生に期待すること、箱根駅伝で目指す総合タイムなど、鉄紺軍団の内情についてたっぷりと話を聞いた。
 NumberPREMIERでは箱根で復権を狙う東洋大学を徹底解剖。近日中に松井海斗選手(2年)の動画インタビューも公開する。
 

 今年、18大会ぶりに全日本大学駅伝への出場を逃した東洋大学。2008年以来学生3大駅伝すべてに出場し続けてきたチームにとっても、駅伝ファンにとっても衝撃的な出来事だった。

 10月の出雲駅伝に出場してから、どのように過ごしてきたのか。まずは全日本大学駅伝当日どのように過ごしていたのか。「実は解説の依頼もあったんです」と酒井監督は振り返るが、大会当日の11月2日は大学の文化祭にあたり、授業もなくしっかりと練習をできる日だったことから、チームの練習を優先し、しっかりと走り込みを行った。

photograph by Takuya Sugiyama
photograph by Takuya Sugiyama

「全日本がないということは、例えば選考のためのハーフマラソンや10000mなど、箱根駅伝までゆとりをもった調整をできることになります。全日本に出られたら経験できるようなものに代わるようなトレーニングを意識して行っていました」

 2009年に東洋大の監督に就任して以来、初めて経験するスケジュール感、そして外から見る全日本大学駅伝。印象に残ったのは上位の順位変動とエースの存在感だ。

「出雲駅伝と全日本大学駅伝の順位がかなり変わりましたね。ミスをせず、どれだけ攻められるかというバランスもあると思います。やはりゲームチェンジャーがいるチームは強い。10000mで27分台が当たり前に出せるようになってきて、27分30秒台も増えてきた。駅伝の流れが変わってくると思います」

 全日本でも青山学院大・黒田朝日、駒澤大・佐藤圭汰を筆頭に、「駅伝の流れを変えられる」ゲームチェンジャーの存在が際立った。酒井監督は全日本で2区区間賞の帝京大・楠岡由浩、3区区間賞の國學院大・野中恒亨の名前を挙げ、特に11月の日体大記録会でその快走を直接目撃したという楠岡については「いつ27分40秒台が出てもおかしくないなと感じました」と強く印象に残ったそうだ。

次期エース・松井海斗と2年生への期待

 10月の出雲駅伝、東洋大は2年生を5名起用という若いメンバーで臨んだ。

「4年生の調子がいま一歩だったこと、チームとして経験値を高めたかったことが背景にあります。松井(海斗)を1区に起用しましたが、もう少し前にいきたかったですね。その後に流れを作り出すという意味では、あと20〜30秒は(速く)いけたかな、と。3区の迎(暖人)は中央大の溜池(一太)くんと近いところで走り、進化を見せてくれたと思います。アンカーの宮崎(優)についても、だいぶ力をつけてきたという印象でした」

次のエースと期待される松井 photograph by Yuki Suenaga
次のエースと期待される松井 photograph by Yuki Suenaga

 松井はこれが大学駅伝デビュー。埼玉栄高校3年時に全国高校駅伝1区で2位となった実力者で、ルーキーイヤーから活躍を期待されていたが、昨季はヘルニアの影響で駅伝には出場できなかった。

 酒井監督も松井のポテンシャルについては十分認めており、「区間賞の走りを期待していた」とのこと。松井の武器は集中力で、周りを見て、考えながら走れるタイプ。出雲駅伝ではペースの上げ下げにも翻弄され、その良さがうまく出なかったものの、酒井監督の「将来の鉄紺のエース」という評価に揺るぎはありません。現時点での成長度合い、今後の育成方針についても、同じ2年生である宮崎、迎、内堀(勇)の個性など、インタビューではたっぷり語ってくれた。

絶対に欠かせない4年生の存在

 2年生に期待をかけつつも、やはり4年生の存在はチームにとって重要な要素。今年はキャプテンの選出も遅れるなど酒井監督も「なかなか方向性が定まらなかった」と認める。

「緒方(澪那斗)と西村(真周)は体調不良が多く、岸本(遼太郎)もウイルス性のイボで走れなかった。網本(佳悟)にかかる負担が多かったと思いますが、キャプテンになって言葉も強くなってきました。本当によくやってくれていると思います」

キャプテンの網本は前回8区で好走 Yuki Suenaga
キャプテンの網本は前回8区で好走 Yuki Suenaga

 11月16日の上尾シティハーフマラソンで西村が3位に入り、緒方も想定通りのタイムで走破。4年生も上昇気流に乗りつつある。また、取材直後の川越ハーフでも3年生・薄根大河が優勝するなど本来力をもっている選手が確実に復調してきており、箱根路では鉄紺が存在感ある襷リレーをしてくれそうだ。

 動画では他に以下の話題についても話を聞いている。

  • 松井海斗との対話とエース育成方針
    夏合宿から練習メニューは2年生を中心に考えた!?
  • 酒井監督が「スタミナお化けになれ」と声をかける2年生は?
  • 内堀勇は「ぶっ飛べる」選手…その真意は?
  • 前回は6区…西村真周の起用区間は?
  • 「シード権獲得の立役者」岸本遼太郎の現在地
  • 箱根駅伝は「順位よりタイム」…酒井監督のターゲットは?
  • 上位校と比べた時、何が違うのか?

 冷静に状況を見極め、チームを強くしていこうと取り組む酒井監督の言葉は、聞いていて強い説得力を感じた。内容充実、44分のロングインタビューは駅伝ファン必見だ。(11月27日取材)

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photograph by Takuya Sugiyama

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