動画・音声

記事を
ブックマークする

【動画】「11位は“希望”の持てる結果でした」長門俊介監督が語る箱根駅伝“四つ巴”と、吉岡大翔らの才能との向き合い方「新主将は3年生からとも考えたけど…」《順天堂大学》

2025/05/22
 Numberが注目する箱根駅伝出場校の監督に動画でインタビューする「駅伝監督」シリーズ。今回は順天堂大学の長門俊介監督にご登場いただきました。予選会では11位とわずか1秒差と薄氷の通過を果たしたものの、箱根駅伝では終盤までもつれた“四つ巴”の争いに7秒差で敗れて、11位でシード権を逃しました。あれから約4カ月が経ち、厳しい結果をどう受け止めているのか。復活の兆しが見えた3年生・吉岡大翔を筆頭に、チームが抱える幾多の才能をどう導いていくのか。そして新チームの現況などについて約50分、じっくりとお話をうかがいました。《近日中に吉岡大翔選手の動画インタビューも公開予定です》

 青山学院大の連覇で幕を閉じた第101回箱根駅伝。優勝争い以上に白熱したのが、10区での“四つ巴”のシード争いでした。東京国際、東洋、帝京、そして順天堂の4校による15km以上にわたる並走。この中でシードを落とすのは1校のみ――。箱根史に残る大混戦の末、順大は10位の帝京とわずか“7秒差”の11位で涙をのみました。

 天国と地獄。シード権を獲れるか、獲れないかでは大きな差があり、しばしばこうした表現もされがちです。しかし、長門監督は「希望の持てる結果だった」と振り返ります。

「完全に理想とするオーダーはできませんでしたが、当日走った一人ひとりが力を出し切っての力負け。予選会から何とかここまで立て直してきましたが力及ばず、本当に“1秒の重み”を感じる戦いでした。ただ、本人たちはやってきたことが形になったという手応えを感じた上での悔しさだったのかなと。というのも、前年とは違い、すごく前向きな報告書があがってきましたし、本人たちの表情や言葉からもそうした手応えが感じられました」

昨秋に完成した寮の前で photograph Kiichi Matsumoto
昨秋に完成した寮の前で photograph Kiichi Matsumoto

 順大は2023年シーズン、出雲駅伝は10位、全日本大学駅伝は11位、箱根は17位と、いずれも入賞、シード権を逃しました。2024年は「立て直し」の1年と位置づけ、長門監督の同級生でもある元祖山の神・今井正人さん(トヨタ自動車九州)がコーチ、田中秀幸さん(トヨタ自動車)がプレイングコーチに就任するなど、改めて取り組みを整理してきたといいます。

「昨年も全日本予選会は17位、箱根の予選会は11位と苦しい戦いになりましたが、そこから歯車が噛み合いはじめたんです。予選会の結果から『厳しいだろう』という見方もありましたが、なんとか戦えるチームになってきたという手応えはありました。伝統校としては『なに二年間落としているんだ』という評価をされがちですが、本人たちにとっては下級生中心の編成だったこともあり、来年・再来年につながる結果だったと思っています」

 特に鮮烈なインパクトを残したのが、7区の吉岡大翔選手(3年)。11位でタスキを受け取ると、単独走で次々と抜き去り、チームを8位まで押し上げました。タイムは1時間02分21秒で区間2位タイ。長門監督は「一人で押していくという彼らしい走り。後ろから見ていても頼もしく、復活の兆しを感じられました」と振り返ります。

3年生・吉岡大翔選手 photograph by Kiichi Matsumoto
3年生・吉岡大翔選手 photograph by Kiichi Matsumoto

 吉岡選手は長野・佐久長聖高校時代、5000mで13分22秒99の日本高校記録を樹立。全国高校駅伝でも活躍し、「スーパールーキー」の肩書きとともに進学したものの、そのポテンシャルをなかなか発揮できずにいました。

 今季は、3月の順大記録会10000mで28分58秒19と自己ベストを更新。4月の順大記録会1500mでは学生歴代8位となる3分39秒15をマークするなど、飛躍のきっかけをつかみ始めているように思えます。一方、異次元の記録を持っているがゆえに「浮き沈みもある」と長門監督は語ります。

「練習の消化率は抜群です。これまでのエースクラスと遜色ないですし、こんなこともできるのかと。ただ、彼の頭には常に高校時代の素晴らしい記録があって、それを追い求めている。あの記録は色々な条件が揃って出たものですし、それを何度も再現できる力はない状態で出たものです。ですので、まずは一つひとつのレースの中で目的、タイムをクリアしていくことで達成感や喜びを感じてほしいのですが……彼の場合、その指標が高すぎる。あのタイムが基準であり、あそこにいかなきゃいけないと。なので、特に5000mではレースの結果で一喜一憂することが多いんです」

 インタビューでは、吉岡選手とじっくり対話を重ねながら、大学以降を見据えてさまざまな経験を与え、彼の可能性を広げようとしている指導の方針について、じっくり語ってもらいました。特に順大記録会1500mのエピソードは、吉岡選手の潜在能力の高さが感じられました。

関東インカレで積極的な走りを見せた主将・石岡 photograph by Yuki Suenaga
関東インカレで積極的な走りを見せた主将・石岡 photograph by Yuki Suenaga

 動画ではほかにも以下のようなトピックについて語ってもらっています。

  • 「今だから話せますが…」苦しかった箱根区間配置の“真相”
  • 監督の心を動かした、新主将・石岡大侑の走りとは?
  • 「あの学年、大丈夫か?と…」新4年生の“驚くべき成長”
  • 4年生合宿で毎年与える“意外な課題”
  • 「世代トップ」の才能を預かるプレッシャーと面白さ
  • 「自分たちに似ている」川原、永原ら2年生世代は「個性が強い」
  • 今季の駅伝で順大がチームとして目指すもの
  • 就任2年目・今井正人コーチの変化とは?

 三浦龍司選手をはじめ、吉岡選手や永原颯磨選手など「世代トップ」と呼ばれる逸材を育てている長門監督。預かった才能をどう育て、次のステージに送り出していくのか。長門監督の「指導観」に触れられる約50分のロングインタビュー、ぜひご覧ください。(5月5日取材)

※配信画面は、NumberPREMIERにご入会いただき、ログインをしていただくと本ページ上部に表示されます。月額プランなら初月は半額650円で、他の動画も見放題、記事も読み放題です。

特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Kiichi Matsumoto

5

0

0

このシリーズの動画を見る

もっと見る
関連
記事