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【動画】「頭ごなしに押し付けるのか」明治大学・大志田秀次監督が語る“弛んだ規律”と伝統校再建策、そして箱根駅伝“幻のオーダー”「大湊や綾と…」《名将インタビュー》

2025/11/11
“気付かせる指導”でチーム再建を進める大志田秀次監督。「正しいことを正しくやる」指導哲学を貫く
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 Numberが注目する箱根駅伝に挑む指揮官を動画でインタビューする「駅伝監督」シリーズに、今回は明治大学競走部・大志田秀次監督が登場。東京国際大学でゼロからチームを築き、箱根常連校へと育て上げた名将が、今年4月から伝統校の指揮を執ることになった。箱根予選会を12位という結果で終えた今、課題をどう捉え、どう向き合っているのか。「この生活を普通と思えなければ、強くならない」――その言葉の真意とは。伝統校の改革に挑む大志田監督に、52分間じっくり語ってもらった。
 NumberPREMIERでは再建中の明治大学を徹底解剖。大志田監督の片腕として指導にあたる射場雄太朗コーチの動画インタビューも公開中だ。

「『結果は悔しいとは思うけれども、やることをやったんだから胸を張る、下を向くな』と(予選会後チームに)話をして。ただ、何がダメだったかっていうことはしっかり確認しようと。練習だけじゃなくて、目標意識だったりとか、どういう気持ちでレースに出ていくかが大事なんだと。箱根に出られない分、いろんなレースがあるので、そこで自分の苦手なところにチャレンジしていこうという話をしています」

photograph by Takuya Sugiyama
photograph by Takuya Sugiyama

 10月18日の箱根駅伝予選会。明治大学は12位となり、2年連続で本戦出場を逃した。予選会の結果を受け、大志田はチームにこう伝えているという。

 明治大学は創立150周年を見据え、箱根駅伝返り咲きと2031年度の優勝を目指す『紫紺の襷プロジェクト~Mの輝きを再び~』を2025年4月に始動。その指揮を託されたのが、東京国際大学を箱根常連校へ育て上げた大志田だった。

 大志田は、意外なところで明治との縁がつながっていたという。

「園原(健弘)監督が僕と同い年で、彼は競歩の選手ですが(自分と同じ)箱根の8区を走っているんですよ。1986年のアジア大会にも、園原監督は競歩で、僕は1500mで出ていました。そんなに親しいってわけではなかったのですが、僕の指導のやり方を彼が気にしてくれていて。『明治を変えたいんだ』と言っていました」

 そうして、大志田への打診があったそうだ。動画インタビューでは、「最初はお断りをした」そのオファーを受けるに至った経緯や心境、東京国際大学を退任して封じ込めたつもりだった学生スポーツへの情熱、さらには東京国際大学でやり残したことまで語っている。

予選会12位で2年ぶりの箱根路復帰はならなかった。 photograph by Shigeki Yamamoto
予選会12位で2年ぶりの箱根路復帰はならなかった。 photograph by Shigeki Yamamoto

 監督就任からおよそ半年で迎えた箱根予選は敗退。周囲からの期待を一手に背負ってきた大志田にとって、この敗戦がこたえないはずはない。それでも、予選会当日午後には早稲田大学競技会へ出向き、予選会を外れたメンバーのレースを見に行っている。落ち込む時間はないんだと、歩みを止めない意志を見せた。

 チームもすぐに新体制に。新主将には大湊柊翔、副将に綾一輝(ともに3年)が就任した。

「予選会が終わったその日に、大湊が『新しい体制で行きたい』と言ってきて。それは僕も考えてたいたので、そうしよう、と。新体制でも別に厳しくするつもりはありません。ただ他がやっているのになんで明治だけできないの、ということは考えさせていきたい。強いチームが“そういったこと”をやっているのに、明治だけは『いや、明治のカラーですから』っていうのはないぞと」

 明治ができていなかった“そういったこと”、それは生活面にほかならない。就任当時の学生たちの生活は、大志田の目には決して箱根に向かうチームのものではなかった。

「練習に取り組む姿勢だったりとか、あとは寮生活も。門限フリーの日が月に2回なきゃいけない、とか。(就任前は)そういったところが自由になっていた。『それが明治らしさだ』と、そんな意味合いのことを言っていました。門限フリーは多くても月1回、なしでもいいくらいだと言うと、だいぶ抵抗していました。僕からしたら、そこかぁ、と」

新チームのキャプテンに就任した大湊(162番) photograph by Yuki Suenaga
新チームのキャプテンに就任した大湊(162番) photograph by Yuki Suenaga

 明治を変えるために就任したつもりが、肝心の学生に覚悟が感じられない。東京国際大学でゼロからチームを作り上げたときとはまったく違う壁があった。

 明治は言わずと知れた伝統校。第1回箱根駅伝に出場した「オリジナル4」の1校だ。その伝統の中に「自由」の風土がある。自由に自分を追い込んで“個”を強くするというあり方が、近年は、自由の意味をはき違えた無規律な集団になっていた。全員でないのはもちろんだが、一部にそういう学生がいて、それを正していくチームの団結力もなかった。

 就任の経緯からも、“ルールを決めて守らせる。守らない学生にはそれ相応の罰則を”としてもいいようなものだが、大志田はそうはしなかった。

「頭ごなしに押し付けるのがこのチームには合っていないなと。やっぱり気付かせるしかない。(学生それぞれが)気付いて、やらなきゃいけないんだなと思わせるようにしなければと考えていました」

新キャプテン・大湊柊翔の人柄とは?

 学生に“気付かせる”指導、キーマンに挙げる選手、さらには明治の監督として成し遂げたいこと。動画インタビューでは、笑顔とときに熱を込めて以下の話題に触れている。

  • 箱根予選会12位という結果を受けて
  • 新キャプテン・大湊柊翔について
  • 改善すべき“生活面”
  • 改革の一歩はどこから手をつけたのか?
  • 未来の明治大学を変えるキーマンは?
  • 明治で指導する面白さと醍醐味
  • 来季の強化プランと具体的な目標
  • 「この生活を普通と思えなければ、強くならない」
  • 箱根駅伝本戦で描いていた“幻のオーダー”

 かつて大志田の下で指導していた方が「大きな志を持った田んぼで、秀でた次の世代の人間を育てる。大志田秀次ってこのために生まれてきましたって名前だよね」と話していたことを思い出す。“人を強くする”ことを真正面から見据えたインタビュー、ぜひご覧ください。(10月29日取材)

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photograph by Takuya Sugiyama

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