最後までもつれた“四つ巴”となったシード権争いをはじめ、2区で区間新記録を更新したリチャード・エティーリの走り、そして留学生がチームにもたらしている刺激。さらに中京大陸上部マネージャーからスタートした中村監督代行の異色の経歴についても深堀り。54分さまざまなお話をうかがいました。
「(アンカーとして)11番手でもらったので、大村もまずは前に追いついてという意識でスタートしたと思います。走り出したときに順位を伝えたのですが、彼の耳には届いていなかったみたいですね(苦笑)」
今年の箱根駅伝のシード争いは、近年稀に見るほどの混戦となりました。東京国際大は往路11位で終えたところからの復路スタート。一時9位に浮上するも、8区終了時点では12位に落ち込みますが、9区の菅野裕次郎の力走で食らいつき、シード圏内に21秒のところでアンカーの大村良紀に襷が渡りました。
大村はハイペースで前を追い、6km手前では順天堂大、東洋大、帝京大をとらえて4人の集団を形成。誰がいつ抜け出すか…というジリジリとした展開の中、4人での並走が続きました。運営管理車も縦列になり、声がけが難しかったといいます。
「4チームみんな、それぞれ話すんですが、全員が聞いているので。込み入った話はできなかったですね」
中村監督代行は、大村を10区に起用したねらいを「チーム内でも練習量を多くこなしていました。自分をしっかり持っているので、単独走になっても落ち着いて自分の力を出し切れるし、競り合う展開になっても状況判断ができるタイプでしたので」と説明します。その狙い通り、大村はラスト1kmでスパート。見事4人の中で一番にゴールに飛び込みました。

2区ではリチャード・エティーリが1時間05分31秒をマークし、先輩のイェゴン・ヴィンセントが樹立した区間記録を18秒更新。中村監督代行も「よく走ってくれた」と評価します。
「彼にとって初めての駅伝でした。“よーいどん”の一斉スタートではないレースの中で、どのように力をコントロールしていくかは未知数でした」。しかし彼のポテンシャルからいえば、もっと走れるはず…と評価。「凡走だった」という言葉も飛び出し、取材者側が驚く場面も。
トラックでパリ五輪のケニア代表を目指していたエティーリは、前半シーズンは海外のレースに出場し、ケニア選考会にもチャレンジしました。「能力頼みでチャレンジしたけど、歯が立たなかった」という選考を経て、7月以降は箱根駅伝予選会をターゲットにするチームに合流。100回大会の予選会では転倒もあったエティーリにとっても、リベンジの舞台でした。
「チームとして結果を残す、ということに対して、自分は何ができるのかということをよく考えていました」。同学年のアモス・ベットとともに実力はチーム内で頭一つ抜けていますが、予選会前は他の選手と練習する場面もありました。「他の選手に対して『頑張れ、頑張れ』と声をかけていました」。留学生というと“助っ人外国人”と捉えられがちなところはありますが、チームの一員としてしっかり存在感を発揮している姿を伝えてくれました。
動画ではほかにもさまざまな話題について語っています。
・「いち箱根ファンだった」中村監督代行にとって初めての運営管理車
・エティーリの強みは“頭が良い”こと
・昨秋の横溝三郎監督の逝去、どう乗り越えていったか
・横溝監督、大志田前監督から学んだこと
・100回大会予選落ち。そこから変えたこと
・4年生の存在がチームに与えたもの
・大学1年目は部活にも入っていなかった?中村監督代行の異色の経歴
・箱根駅伝で留学生が果たす役割
「今年は横溝さんのチームとして残したシード権だったと思います。来年もしっかりシード権を取っていきたいですね」。選手に寄り添い、チームを底上げしてきた中村監督。なるほどや驚きもある54分のロングインタビュー、ぜひご覧ください。(1月28日取材)
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