「8⽉の合宿のテーマは『下地作り』でした。普段はほぼ平坦なところで練習をしており、7⽉の厳しい暑さに加え、東洋⼤学は試験期間が8⽉上旬まであり、なかなか下地づくりができなかったですし、早朝練習で⽇が出る前に平坦な場所でロングジョグを⾏い、夏合宿に臨むしかできませんでしたから」
第100回の箱根駅伝で3位と僅差の4位、トラックシーズンも好調を維持して「復活」の狼煙を上げた東洋大学。ただ、梅崎蓮、石田洸介ら主力がエントリーから漏れた出雲駅伝では11位と苦戦を強いられたが、その背景には夏合宿における暑さやメンバーの故障などがあったという。
ただ、指揮官はチーム作りを焦っているわけではない。
「出雲駅伝、全⽇本⼤学駅伝に関しては、評価が下がっても『慌てるな』と話をしています。というのも、出雲と全⽇本は区間構成上、前半の3区までは5000mで⾔えば13分30秒切り、10000mだと27分30秒ほどの⾛⼒を持っている選⼿たちが⾛るので、東洋⼤学にとっては厳しいと考えています。ただ、そこ以外の区間でしっかり粘れば、箱根駅伝でも良い⾛りができるのではないかと」
印象に残った「ストーリー」という言葉
今回のインタビューは9月に実施したが、酒井監督の言葉の中で特に印象に残ったのが「ストーリー」だ。酒井監督は、成功、失敗、飛躍、挫折など、選手個々がそれぞれの人生で抱えるストーリーを指導をする上でとても大切にしているという。
「チームのストーリーを構成しているのは、やはり選⼿1⼈1⼈だと思います。もちろん監督やコーチのストーリーもありますが、私は選⼿1⼈1⼈のストーリーが織り交ざりながらのチームになっていく。最近選⼿たちにも『チームは⽣き物』という表現を使って、『その体の⼀部があなたたちひとりひとりなのだから、各自がどう動くのか、どう考えるかによってチームは変わっていく』と伝えています」
そしてこう続ける。
「学校でいうと1クラスくらいの40⼈弱の⻑距離選⼿たちを⾒ています。彼らを⾒ていると、1⼈1⼈の体調が良い時、悪い時、⾛れる時が順番にやってきていると思います。⼈の成功を喜べなかったり、嫉妬したりといった気持ちは当然ありますが、チームメイトの活躍を⼼から喜べるようになるのはとても⼤事だと⾔っています」
今回の動画インタビューでは、その他にも以下のようなことを聞いている。
- 寡黙な梅崎がキャプテンになった経緯
- なぜ石田は「新しい自分になった」のか?
- 柏原竜二や相澤晃はどのようなストーリーを持っていたのか?
- 全日本大学駅伝の目標を「最低限シード権」と設定する理由
- NIKEペガサスプラスの練習での使い方
- 現地で観戦したパリ五輪の活気
今から底上げを狙い、虎視眈々と箱根駅伝を見据える東洋大学。その指揮官の指導者としての大局的な視点が見えるインタビュー、お楽しみください。
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