#400

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《夢の対談》「とりこにさせて溜息をつかす、が理想です」22歳イチローと29歳三浦知良が語りあった“ナンバーワンの美学”「努力、自己管理は当たり前」

2025/02/20
1996年に実現した豪華対談。400号の表紙も飾った
「Number400」という節目の特集号で、日本球界に旋風を巻き起こし続ける22歳のイチローとサッカー界を牽引する29歳のキングカズという夢のセッションが実現した。競技も年齢も違えど、超一流のみが辿りつく感覚を両雄は共有し意気投合したのだった。(初出:Number400号 ICHIRO & KAZU「ナンバーワンの美学」 NumberPLUS「イチローのすべて」にも掲載)

 オリックス所沢遠征先のホテルの一室。先に到着したカズがイチローを待つ。

 午後9時半、選手会の壮行会を終えて、キャップを被ったイチローが姿を現した。

「遅れてすみません」、イチローが頭を下げる。

「カズです」。差し出された右手をイチローが握り返した。

「いつも見てるよ」と、カズが笑いかけると、

緊張気味だったイチローの肩の力がスッと抜けた。

 カズとイチロー。この日、初めて顔を合わせた。日本の二大プロスポーツを代表するトッププレイヤー。二人の話に、じっくりと耳を傾けていただきたい。

 そこには、野球とサッカーというジャンルを越えたトッププレイヤーでなくては語り得ない、そしてトッププレイヤーでなくては理解し得ないであろう、充実感と、自負と、苦しみと、次の世紀に向けて背負った責任があった。

「選手って一流になればなるほど本当に繊細なんだ」

 時計の針は、すでに12時を回ろうとしていた。

イチロー「すごい勇気のある人だなとずっと思っていた」

──イチロー選手は、今年で23歳?

イチロー はい。プロ入り5年目です。

カズ 23歳というと、僕はちょうどブラジルから帰ってきた年ですね。'90年でした。

イチロー 戻ってこられたのは'90年だったんですか。'90年! 高校生でした。高校2年生。

カズ 夏でしたよ、帰って来たのは。

イチロー 僕は甲子園に出ていました。1回戦で負けちゃって。

──カズさんにとって、いつ頃からですか、「イチローが光っている」と思えたのは。

カズ 僕がちょうどイタリアに行っていた時なんですよ、200本安打を打った年は。だから、あまり知らなかった。

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photograph by Yasuhide Kuge

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