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「だから石田さん、サヨナラ」イチローの言葉に絶句し、チームメイトになった日…石田雄太が引退後も「背番号51」を追い続ける理由とは?《草野球デビューに寄せて》

2025/04/22
軟式球を使う草野球でも、キャッチボールは硬式球で行う
現役引退から255日後、イチローが草野球デビューを果たした。25年もの間、51番を追い続けたジャーナリストが、禁断の殻を破り、チームメイトとして、スコアラーとして背番号1に“熱私線”を贈る!(初出:NumberPLUS イチロー「イチローの野球はまだ続く。」 NumberPLUS「イチローのすべて」にも掲載)

 それは、イチローの思わぬ一言から始まった。東京ドームで現役を引退した直後、シアトルに戻ったイチローに話を聞いたときのことだ。すべての質問を終えて、ありがとうございました、とインタビューを締めくくったその瞬間、イチローがぼくにこう言ったのだ。

「サヨナラ」

 一瞬、頭が真っ白になった。インタビューのあとには写真撮影も控えている。今日のお別れにはまだ早い。このタイミングでのサヨナラってどういう意味なんだろうと彼の真意を測りかねていたら、イチローはこう続けた。

「だって引退したんだから、インタビューはこれでもう、終わりでしょ」

 いやいや、そんなことはないよ、これからだってイチローに訊きたいことはいくらでも……と言い掛けたら、そんなささやかな抵抗を遮るかのようなダメ押しの一言が続いた。

「だから石田さん、サヨナラ」

 初めて対峙してから四半世紀の間、イチローに何度、インタビュアーとして向き合ってきただろう。そうか、その大役は今日で終わりなのか。ぼくは突然の寂しさと空しさに襲われた。イチローにサヨナラを言われるまで、そんなふうに考えたことがなかったからだ。

 ふと、思った。

 明日からのぼくは、イチローとどこで接点を持てばいいのだろう、と……選手とインタビュアーでなくなったら、イチローに野球の話を聞けなくなるのか。実際、引退後のイチローがいつ、どこに現れるのか、その時点ではまったく想像できなかった。

「草野球、一緒にやりたいんだけど」

 ただ、ひとつだけ、ヒントがあった。

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photograph by Naoya Sanuki

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