箱根駅伝に挑む指揮官を動画でインタビューする連載「駅伝監督」に、中央学院大学・川崎勇二監督が登場。1992年から指揮をとり、初出場、シード権獲得、連続出場とチームを導いてきた名将で、今季は予選会で見事チームを首位通過させたが、近年は悩み、自分自身の在り方と向き合ってきたという。転機はどこにあったのか。川崎監督の指導哲学に迫るロングインタビューを前後編に分けて公開する(後編はこちらから)。
NumberPREMIERでは箱根で復権を狙う中央学院大学を徹底解剖。キャプテン・近田陽路選手の動画インタビューも公開中だ。
中央学院大学が変わりつつある。いや、ひと昔前とは明らかにイメージが変わったと言っていい。ターニングポイントとなったのは、2度の箱根駅伝予選会での敗退だった。
「良い意味でも悪い意味でも予選落ちは反響が大きかったです。連続出場は止まりましたけど、あの2回があるから、なんとか今もやっているのかなと思います」

コーチ時代を含めるとチームを指導して41年、川崎勇二監督はこう語る。中央学院大は1994年の第70回記念大会で箱根駅伝に初出場。その後は空白期間もあったものの、初めてシード権を獲得した第79回大会からは連続出場を続けていた。
しかし、コロナ禍の2020年10月、6年ぶりの予選会でまさかの12位に終わり、箱根駅伝の連続出場が「18」で途切れた。その2年後の第99回大会でも再び出場権を逃している。
「私自身も学生も箱根駅伝に出るのが当たり前になっていたので、それが当たり前ではないことを認識しました」
厚底シューズへの切り替えに乗り遅れたこと、チームがうまく一体感を持てなかったこと――それぞれの予選会に考えられる明らかな敗因もあったが、川崎監督自身、反省すべき点があったという。
「私も歳をとって熱量がなくなってきていた。“これじゃいかんな”と思いましたね。自分自身がもっと表に出て熱いものを見せていかないと、学生に伝わらないし響かない。彼らが付いてこないなと感じました。指導する側として一番大事なのはやっぱり情熱だと思うんですね。それがなくなったら、ただのジジイになりますから(笑)」
いつしか自分の中の熱量が薄れていたことに行き当たったという。そして、再び熱い思いをもって学生の指導に当たっている。
「学生たちには残念なことかもしれませんが(笑)、情熱がまだ湧いてきています。もう少しやろうかな。この情熱が消えた時は、自ら退かなきゃいけないなと思っています」
63歳になった今、指導者としての情熱は衰えるどころか、以前にも増して燃えたぎっており、未来を見据えた変革を起こしている。
自身の後継者と見込んで、初めてシード権を獲得した時に主将だった福山良祐氏を、2023年にコーチとして招聘。2024年6月には大学の創立125周年記念事業として、キャンパスの目の前に駅伝部の学生寮が完成し、選手たちは新たな環境で生活を送っている。また、今季はYouTubeチャンネルを開設し、SNSと合わせて積極的に発信も行なっている。このような取り組みも、“新たな”中央学院大の一面だ。
吉田礼志が作った変革の礎
2度の予選敗退でどん底に落ちかけた時に、暗黒期を迎えずに済んだのは、昨季の主将だった吉田礼志(Honda)の存在も大きかった。
「吉田君は下級生の時から、上級生に対してものを言う学生でした。それでいて、彼は言うからにはやることはやる。誰よりも練習しますし、誰よりもペースを上げたりもする。そんな吉田君は、後輩たちにとって憧れ的な存在でしたし、みんなでしっかりやらなきゃいけないという雰囲気を作ってくれました」

動画では、前後編で合わせて、以下のようなトピックについて触れている。
- 箱根駅伝予選会で「2度敗退」の転機
- 指導者としての覚悟“熱量がなければ辞めるべき”
- チームを変えた前主将・吉田礼志
- 後継者の福山良祐コーチへの信頼
- 箱根駅伝の先にあるものとは?
- マラソンで活躍する教え子たちへの印象
- 箱根予選会で「集団走」を封印した理由は?
- 「予選会3位以内」学生の目標に指揮官は…
2度の敗退後、箱根駅伝予選会では第100回が9位、第101回が5位、そして、今季の第102回がトップ通過とチームの成績は右肩上がりだ。第95回大会から遠ざかっている本大会のシード権も、確実に見えるところにある。川崎監督の本音が聞こえる前編33分、後編34分のロングインタビューぜひご覧ください。(12月2日取材)
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