特別増刊

記事を
ブックマークする

【衝撃の告白】「打者として探し続けていたものを見つけた」イチローが“5年連続首位打者”の先に見据えていた「自分自身のピーク」《独占インタビュー/1999年》

2025/02/21
前人未到の5年連続首位打者を獲得し、6年連続に向けて邁進する男は、日本プロ野球史上最速のペースで通算1000本安打も達成した。進化を続ける稀代の強打者が踏み込んだ、新たなる未知の領域に迫る。(初出:NumberPLUS(1999年8月19日発売) イチロー「ピークは遥か先にある」 NumberPLUS「イチローのすべて」にも掲載)

 衝撃の告白、である。

「5年連続首位打者、これは僕にとっては単なる結果でしかない。それも、ごまかす事で何とか残した結果だった。'94年から'98年までの僕を『最高』だと思っている人はいるでしょう。でも、違うんです。ただ苦しみ抜いていた。ところが、今シーズン、初めて『行ける』『打てるんだ』という感覚を掴むことができた。僕自身の本当の実力を発揮する戦いは今年から、ようやく、始まったばかりだと思っています」

 オリックス・ブルーウェーブのイチローが打者として5年もの間トップを走りつづけた事実はこの上ない快挙だ。だが、本人はそれを認めない。過ぎ去った月日は、彼を苦しめる時間であり、打者としては混迷の時代だった。

「オリックスに入団して7年、自分は常にベストを目指して来た。どんな状況にあろうと、持てる力を絞り出すようにして打席に立ってきた。ぎりぎりのところまで自分を追い込まなければ、この結果は残せなかったんです。心のどこかで、自分の力はこんなもんじゃないはずだと言い聞かせていた。考えてみると、首位打者になった5年間は、感触としては自分の持っている力の50%しか使えていなかった」

 '94年.385、'95年.342、'96年.356、'97年.345、'98年.358。数字は雄弁にイチローの比類なき資質を示している。彼はこの記録を、およそ「半分の出力」で成し遂げたのである。

 しかし、イチローは今年になって「限界という天井」を突き破る術を見つけたと言うのだ。

特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Naruyasu Nabeshima

0

0

0

前記事