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【ヤンキースvsドジャース】「解説は長嶋茂雄さんで…」1978年と81年ワールドシリーズをなぜフジテレビが中継したのか?<実況・岩佐徹が振り返る名勝負>
1978年のドジャース対ヤンキースのワールドシリーズは、私にとって「アメリカの窓」だった。このシリーズが日本の地上波で見られたのは、この年からフジテレビが週2回、「大リーグ中継」を始めたからだった。その実況を担当したのがアナウンサーの岩佐徹さんだった。
「'78年から'81年まで、ワールドシリーズを現地で実況しました。当時の日本人が大リーグと聞いて連想するのは、やっぱりヤンキースとドジャースでしたから、この2球団の対決となった時は胸が躍りました」
岩佐さんの実況では、日本の中継では耳慣れない単語が飛び交った。「ウォーニング・トラック」(外野フェンス前のアンツーカー)「スタンダップ・ダブル」(滑り込む必要のない余裕の二塁打)。小学校5年生だった私にとっては新鮮で、いつかアメリカで野球が見られたらいいな、と淡い夢を抱くようになった。
ヤンキースの際立つ個性、ドジャースの家族的な温かさ。
'78年春、基本日曜の昼と月曜の夜の2枠で放送が始まった大リーグ中継には、様々な「経緯」が絡んでいた。
「あの時代のフジテレビが放映権を持っていたのは、ヤクルトと大洋(現・横浜DeNA)の主催試合だけで、夏場になると日本テレビの巨人戦中継にやられっぱなしでした。そこで、今でいうコンテンツはないかということで、大リーグに着目したわけです。当初、月曜日は1時間半しか枠がなく、放送内容は試合のダイジェスト。ところが、月曜9時のドラマで主演していた勝新太郎が、5月にアヘンとその吸煙器を処分するように頼んだ疑いで書類送検されます。ドラマは打ち切りになり、そのおかげで大リーグの枠が2時間に延びました(笑)」
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