菊池雄星がついに本領を発揮し始めた。アストロズ移籍後の初登板、8月2日レイズ戦で球団タイ記録となる8連続奪三振。このゲームから9月13日のエンゼルス戦まで先発した8試合はすべてチームが勝ち、自身も5つの白星を積み上げた。新チームで計48イニングでのK/BB率(三振と四球の比率。3.5以上で優秀とされる)は4.92、WHIP(1回に許した走者の平均数。1.2以下なら優秀)も0.9台だ(9月16日時点)。その間はレッドソックス、オリオールズ、ロイヤルズなどプレーオフ争いに絡むチームと7度も対戦している。
8月31日のロイヤルズ戦で7回5安打1失点、12奪三振でメジャー通算39勝目。“恩師”と慕う石井一久(ドジャース、メッツ。現楽天SD)に日本人左腕通算最多勝で並んだ夜、菊池はしみじみと「やっと、『ピッチングしているな』という感じがします」と語った。「こちら(アメリカ)に来てからというもの、まずストライクを投げることがプライオリティの時期が長かった。自分が技術的に追いついていなかったこともありますが、今はどの球種でもある程度アタックできるようになっている。初めて配球、バッターの仕草も含めて(駆け引きがイメージとして)見えている。だから、めちゃくちゃ(ピッチングが)楽しいんです」。
渡米5年目にして体調、精神面ともにそろいつつある。
渡米1年目は前年オフのポスティング移籍交渉が長引いたこともあり、十分な強化トレーニングができなかった。2019年のマリナーズ1年目、直球の平均球速は150kmに届くかどうか。試行錯誤の末に球速は上がっていったものの、その後も突然乱れる不安定さは残った。やっと投球フォームがしっくりきたのは米国5年目の昨年。そして今年7月29日のアストロズ移籍以降、メカニクス、体調や精神面などがいい感じでそろいつつある。
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