「リップ塗ってきます!」
写真が大きく使われると知るや否や、クインシーズ刈谷のアウトサイドヒッター・笠井季璃は駆け出して行った。チーム広報が「彼女は本当に可愛がられていますよ」と話す理由の一端がそんな様子にも垣間見えた。
スケートが盛んな北海道別海町で生まれた笠井は元々「凛」と名付けられる予定だったという。だが、字画判断などからラ行の音を残して「季璃(りり)」に。幼少期から体を動かすのが大好きな少女に育つと、小学校3年生の頃にバレーボールと出会う。
「両親が元々バレーボールをやっていて勧められました。バスケットボールにも興味があって、どちらを選ぶか最後まで悩んだんですけど最終的にはバレーボールを選びました」
毎日スクワットを30回行うなどして下半身を強化すると、すぐに頭角を現す。別海中央中1年生の頃に全道中体連バレーボール大会で3位に輝くと、未来の五輪候補が集まる「全国中学生長身選手発掘育成合宿」にも招集された。
2021年に旭川実業高に進学すると、週3回のトレーナーによる指導なども経て土台となる肉体を作り上げていった。より本格的に筋力トレーニングを重ねるようになったのは、ID(知的障害者)アルペンスキー日本代表などにも帯同していた大上達也トレーナーの存在が大きかった。
「1年生のときに大上さんが来てくださって、『やるやつには教えるし、やらないやつには教えられない』『上を目指したければ俺を利用しろ』と厳しいことをおっしゃってくれました。体が変わればプレーも変わるということが高校の3年間で身に染みたので、後回しにしなくて良かったなと思います」
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