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「心はやっぱり縦じま柄さ」ランディ・メッセンジャーを支えた“伝説の投手”と「一生忘れられない」引退試合《最強助っ人からの伝言①》

2024/03/31
2010年から2019年まで阪神で活躍したメッセンジャー

 タイガースの日本一を知った瞬間、妻のヴァネッサに「きっと天国でジーンが喜んでいるだろうね」と言ったんだ。

 タイガースでプレーしていた頃、突然ジーン・バッキーから連絡がきた。「おい、俺の記録を超えろ!」ってね。彼は1964年に外国人初の沢村賞に輝いた投手で、また外国人としてタイガース史上最多となる通算100勝の記録を持っている。球団の歴史に名を刻むそのレジェンド右腕は、いつも僕のことをすごく応援してくれていた。

 僕は結局、彼の記録には一歩届かず98勝で'19年に引退したけど、それまでは勝つたびに「おめでとう」って連絡をくれて、「あと何勝ガンバレ!」と励ましの言葉をかけてくれていた。当時はそれが大きな支えになり、本当に感謝していたんだ。

 '62年から7シーズン、タイガースでプレーしたジーンもまさに虎キチで、ヴァネッサに頼んでタイガースグッズを取り寄せ、いつも自宅にたくさん飾っていた。残念ながら2019年、82歳で日本一を見られずに亡くなったけど、生きていたら大喜びしたに違いない。

 選手とチームの絆を大事にするのはタイガースの素晴らしい文化だ。OBもファンもその気持ちを強く抱いていると思う。

一生忘れることができない引退試合とセレモニー。

 僕ももちろんそうだ。'99年にフロリダ(現マイアミ)マーリンズに入団し、傘下のAA時代の'03年にワールドシリーズを制覇した時は喜んだし、メジャーデビューして初勝利を挙げたのもマーリンズだった。でも、やっぱり心はタイガースの縦じま柄さ。

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photograph by JIJI PRESS

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