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「全女を世界で唯一のプロレス団体にした」真剣勝負“ピストル”とは何だったのか…ブル中野らが語る「奥深さ」《ジャガー横田は鈴木おさむ氏に抗議した》

2024/11/22
あらかじめ試合の筋書きや結末が決められているもの――。ドラマを含め、プロレスはこう捉えられがちだが、『極悪女王』の時代の全女に限れば、違う。団体内での己の地位とプライドを懸けて懸命にマットの上で相手を押さえ込む。「ピストル」と呼ばれた真剣勝負がもたらした熱狂の正体とは。(原題:[世界に一つだけのシステム]ピストルという情熱 ロッシー小川/ジャガー横田/ブル中野)

 今秋、Netflixで世界配信されたドラマ『極悪女王』。ダンプ松本を中心とした1980年代女子プロレスラーたちの実話を元にしたこの青春群像劇は、俳優たちの体を張った熱演もあり大好評を博したが、ドラマの中で「ブック」という言葉が頻繁に使われたことで、SNSでは違和感を表明するポストも散見された。

 ドラマの中で「ブック」が何を意味するのかは説明されていなかったが、話の流れから台本や筋書き、あらかじめ決められた試合の結末という意味で使われていたことがわかる。

 この「ブック」に対する否定的な意見は、隠語を用いてプロレスの裏側を暴露したことに対するものと誤解されるかもしれないが、そうではない。プロレス界にはそもそも「ブック」という言葉は存在しないのだ。ジャガー横田は10月2日に配信された集英社オンラインのインタビューで真っ先にこう否定している。

「私はこの世界に48年間いますけど使ったことがないです。この世界で一番古い私が使ったことないんだから、現実の世界にはない言葉です」

「ブック」は全女で実際に使われていた隠語や業界用語ではなく、2000年前後からインターネット上で使われ始めたネットスラングとの説が有力だ。

 ジャガーは「フィクションとしての物語だからいろんな作りをしてもいいと思うんですけど、見ている方たちがあの物語を全部、本当だと思われたら私は残念に思うところはあります」とも語っている。

 もちろんプロレスは、競技スポーツとは一線を画すスポーツエンターテインメントだ。かつて前田日明やWCWのオーナーだったテッド・ターナーが「プロレスはスタントマンのメロドラマ」と評したように、プロレスラーたちは命懸けで闘いながらドラマを演じている。

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photograph by TOKYO SPORTS PRESS

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