東西の人気球団として知られるドジャースとヤンキースのワールドシリーズ対決は、今年こそ実現するのか――。過去、両軍は通算11回(ブルックリン・ドジャース時代を含む)対戦し、ヤンキースの8勝3敗。もっとも、1981年を最後に顔合わせはなく、今季は43年ぶりの頂上対決を望む声が、例年以上に高まってきた。
その「プレシリーズ」とも呼ばれる3連戦が、6月7日からニューヨークで行われた。ドジャースの大谷翔平、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン、ヤンキースのアーロン・ジャッジ、ジアンカルロ・スタントンと、MVP受賞者5人が顔を揃える豪華な布陣。しかも、ドジャースがヤンキースタジアムを訪れるのは2016年以来8年ぶりとあって、全3試合が全米中継されるなど、前半戦最大の黄金カードとして注目された。
結果は、先発山本由伸の好投などで先勝したドジャースが、2勝1敗と勝ち越した。集客面では、チケット完売日を含め全試合で各4万8000人以上が詰め掛けた。調査会社「ニールセン」によると、第2戦は'22年9月以降の公式戦では最多となる約291万世帯の視聴数を記録するなど、ポストシーズン並みの盛り上がりだった。
第3戦を制し、3連敗を免れたヤンキースのアーロン・ブーン監督は、特別な空気を肌で感じた。
「今回は公式戦の中でも、より活気に満ちたシリーズだった」
その一方で、たとえ両軍が地区優勝を飾ったとしても、熾烈なプレーオフを勝ち抜かない限り、夢対決は実現しない。
大谷とヤンキースの最終決戦での対決は、ファンも望んでいる。
ただ、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は盟主へのライバル意識を隠そうとはしない。
「ワールドシリーズで対戦する可能性のあるチーム相手に、メディアから注目され、チケットは完売し、エネルギーを感じられるのは、一種のバロメーターになる」
過去の両軍対決では、'55年にジャッキー・ロビンソンが本盗、'56年にドン・ラーセンが完全試合、'77年にはレジー・ジャクソンが1試合3本塁打を記録するなど、球史を彩った名シーンも数多い。
初のポストシーズンを目指す大谷が、最終決戦でヤンキースと対決することになれば、ファンが望む、これ以上のストーリーはない。