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【大谷翔平とドジャース】11年間で地区優勝10回も、WS制覇は1度のみ…MLB取材30年の記者が「鬼門」プレーオフを分析《カーショウは何度も落胆》

2024/09/29
昨年、Dバックスとの地区シリーズ第1戦に先発し、初回に1死しか奪えず6失点で降板したカーショウ
晩秋のダグアウトで、この世の終わりとばかりに落胆する背番号22の姿は、いまやドジャースの風物詩とも言える。近年、レギュラーシーズンで盤石の強さを見せつけながら、なぜ“世界一”への階段に差し掛かると、容易く躓くのか。30年以上、MLB取材を続ける記者が苦渋の歩みを辿る。(原題:[この10年を振り返る]強くても勝てない鬼門のプレーオフ)

 MLBの10月は、勝ち続けたチームだけが享受できる特別な1カ月だ。球場は超満員になり、詰めかけたファンは一段と声を張り上げ、誰もがアドレナリン全開で熱を込める。ポストシーズンで戦った記憶はエキサイティングで楽しいものとして、選手たちの心に永遠に残り続ける。

 ただしドジャースにとってこの11年間の10月は、そんな「栄光」とは別物だった。2013年から毎年進出しているが、そのほとんどは失望と苛立ちに満ち、思い出したくもない悪夢の繰り返しとなった。

11年間で地区優勝10度も、WS制覇はたった1度のみ。

 ドジャースといえばメジャーで最も成功した球団の一つだ。140年の球団史の中でリーグ優勝25度、プレーオフ進出37度、ワールドシリーズ制覇7度を達成。地区制が導入された'69年以降はナ・リーグ西地区で21度の地区優勝を果たしている。'13年からここまでの11年間でさえ地区優勝を10度果たし、ポストシーズンに進出できなかったことは一度もない。

 だがワールドシリーズを制覇したのはたった一度。それもコロナ禍で60試合に短縮された'20年だけだった。通常のシーズンだけをみると'88年を最後に頂点から遠ざかっており、名門中の名門球団にとってこれは失望以外の何ものでもない。

 特に直近5年間はレギュラーシーズンで圧倒的強さを見せながら、プレーオフの地区シリーズ敗退が3度もあった。大谷翔平がドジャース入団会見で「オーナーは、チームが経験してきたこの10年間をまったく成功だと思っていないと仰っていた」と話していたが、監督のデーブ・ロバーツはじめ球団幹部は、やはり162試合のシーズンで勝ちたいという思いが強い。

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photograph by Getty Images

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