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《大谷翔平の最高の好敵手》アーロン・ジャッジが大切にする“選球眼”とチームファースト「野球史上でも唯一の存在かもしれない」

2024/06/29
2022年には62本塁打のア・リーグ新記録を樹立したジャッジ
野手ではあまり例を見ない201cmの長身を活かし、ヤンキースのレジェンドたちを超える活躍を見せる。大谷翔平にとって最強の好敵手は絶好調の今季、どこまで打撃成績を伸ばして勝利を引き寄せるか。(原題:[主砲の肖像]アーロン・ジャッジ「球史でも唯一の存在」)

 今、メジャーには2人のベーブ・ルースがいる。

 米国で野球人気が一気に盛り上がった20世紀初頭に球界を背負って立ったルース。それから100年の時を経て出てきた現代のルースが、アーロン・ジャッジと大谷翔平だ。

大谷とジャッジの対決に“黄金時代”を見た。

 6月上旬に行われたヤンキースとドジャースの3連戦で、2人はヤンキースタジアムの同じフィールドに立った。人々の目を釘付けにする瞬間が訪れたのは、最終戦の8回。それは年間にプレーされる数万ものイニングのたった1つに過ぎなかったが、この2人のルースがからんだだけで「我々は今まさに野球の黄金時代を目の当たりにしている」という気にさせられた。

 ヤンキースが2点をリードした守りの場面、ジャッジがライトのそう深くない位置でフライを捕り、大谷がタッチアップからホームに滑り込んだ。ジャッジの送球は93マイル(約150km)を超える渾身の一投。だが大谷の足にわずかに負けた。互いに強打者でありながらいかにオールラウンドの選手であるか、ジャッジの肩と大谷の足がそれを同時に証明してみせた瞬間だった。

Hiroaki Yamaguchi
Hiroaki Yamaguchi

 ジャッジは試合後、大谷についてこう語っている。

「あの男……半端なく速い。ああいう選手をアウトにするには、正確で速い送球が必要。できることなら95か96マイル(約153~154km)の球を投げたかった。そうすればアウトにできたかもしれない。驚異的なアスリートだ。球界最高の選手だよ」

 大谷を賞賛するジャッジ自身、今季は最高のシーズンを送っている。大谷が見事なタッチアップをしてみせた回の裏には24号本塁打を放って本塁打王争いでメジャートップを走る。しかも17試合で11本というハイペースで打ち続け、と同時に35試合連続出塁、9試合連続マルチ出塁もマークした。

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photograph by Hiroaki Yamaguchi

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