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「僕は“big on big”(力と力の勝負)が好きなんだ」大谷翔平が“唯一無二”を示した今季3つの場面とは?《MLB最強打者たるには、何が必要か》

2024/06/27
今季すでに2度の週間MVPを受賞している大谷翔平
6年前、二刀流を携えて海を渡った若者は、今や米国の若者から挑まれる立場になった。今季は打者のみでも「MLB最強」たる所以が遠征で赴く全米各地の反響から窺い知れる。(原題:[全米ドキュメント]大谷翔平「真っ向勝負を受けて立つ」)

 大相撲における力士の最高位・横綱には昇進の際、横綱審議委員会により、「品格、力量が抜群であること」が求められる。

 では、MLBの「最強打者」たるには、何が必要とされるのか。

 投打にわたり、各部門のデータ分析が細分化されたことで、近年は選手の「力量」をWARなどの指標で評価することが定着した。その一方で、データだけでは価値を測れない領域もある。それらを野球選手の「品格」に置き換えるのは、少しばかり強引だろうか。

「初めての日」の記憶を、大谷翔平は今も忘れていない。2018年3月29日、オークランドでのアスレチックス戦。それまでメジャーで一度もプレーしたことのない大谷は、エンゼルスの「8番DH」でスタメンに名前を連ねていた。下位打線ながら、日米両国から注目され、結果が求められる立場だった。だが、大谷はそれが当然のことであるかのように、第1打席から躊躇することなく、初球を振り切った。結果は右前へ弾き返すメジャー初安打だった。その姿勢こそ、大谷の生き方だった。

 当時、米球界の誰もが、太平洋を渡ってきた日本人の「二刀流」には半信半疑だった。著名な野球記者たちが、次々と疑問視する論評の記事を掲載した。当時23歳の若者は、そんな逆風が吹き荒れる中、世界最高レベルの大海原へ飛び込んでいった。だが、その後、並外れたパフォーマンスを残し続けることで、これまでの常識と懐疑的な声を覆し、今や「史上最高選手」の評価を不動のものにした。結果を残せば残すほど、周囲が求めるレベルは、青天井で上がり続ける。

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photograph by Yukihito Taguchi

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