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打者・大谷翔平の“真の価値”がわかるデータは?「wRAAとwOBA、どちらも数値が高くて…」《スイングのデータ公開は「野球の新たな局面」》

2024/06/27
試合中も熱心にデータを確認する大谷翔平
打者専念のドジャース1年目で順調な滑り出しを見せている。その価値は従来の“三冠”だけでなく、最新指標でも明らかだ。MLBを席巻する指標について、大谷の成績を絡めて解説する。(原題:[データで読む]打者・大谷の本当の価値)

 打者に専念する今季、ドジャース・大谷翔平は打撃部門でナ・リーグ上位に名を連ねている。日本時間6月21日時点で、本塁打21本はリーグ1位、打率.318はリーグ2位。打点53はリーグ5位につける。打撃主要3部門でのタイトル獲得に期待が膨らむ。出塁率.391はリーグ5位、長打率.615は1位、安打数94本は2位、塁打182は1位など、大谷の名前が上位にない打撃の指標は見当たらないほどだ。

 米国で選手を評価する指標の数は日本と比べて圧倒的に多い。打撃では大きく「Standard」と「Advanced」の2つに分けられる。Standardには打撃主要3部門、盗塁や四死球、長打率や出塁率など日本でも一般的な項目が並ぶ。一方、Advancedには「wRAA」や「wOBA」といった日本では見慣れない指標が数多く設けられている。wRAAは平均的な打者と比べて、どれだけチーム得点を増加または減少させたのか、wOBAは1打席あたりでチームの得点増加にどれだけ貢献したかを表している。

Nanae Suzuki
Nanae Suzuki

 Advancedの指標には共通点がある。それは「チームへの貢献度」。いかにチームの勝利に寄与しているのかを数値化している。勝利への貢献を詳細にデータ化する背景について、スポーツ科学に基づき野球のデータを解析する「ネクストベース」のアナリスト・森本崚太氏が説明する。

「MLBはNPBよりも、勝ちに対するチームへのリターンが大きい点が理由に挙げられます。ワールドチャンピオンになると高い経済効果を期待できることから、球団には勝ちに貢献できる選手に投資する考え方が浸透しています。球団が利益を上げるために勝利を目指すわけです。そのために選手の能力を細かく正確に分析し、評価しています」

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photograph by Nanae Suzuki

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