米球界で「スカイ・ハイ」とも表現されるほどの高い期待値を、重圧と捉えるのか、それとも意気に感じるのか――。
過去11年間で8連覇を含む地区優勝10回、ワイルドカード1回と、毎年ポストシーズン進出を果たしてきたドジャースが2023年オフ、大谷翔平、山本由伸をはじめ、タイラー・グラスノーら有力選手の補強に成功した。右肘手術明けの大谷は今季、打者に専念するとはいえ、総合力でメジャー最強と言われる盤石の戦力を整えた。その中心的役割を果たしたのが、編成部門を統括するアンドリュー・フリードマン編成本部長と、現場を統率するデーブ・ロバーツ監督だったことは言うまでもない。
中長期的戦略を見据え監督刷新、戦力増強を図ったフリードマン。
米アリゾナ州グレンデールでキャンプインした直後、フリードマンは春休み中の愛息と一緒に各グラウンドの練習を見回るなど、終始すこぶる上機嫌だった。
「このオフシーズンにやってきたことは、我々にとって、本当に幸運だった。それは我々にとって重要なステップだった」
昨オフの補強に伴い、今季開幕時のチーム総年俸は約2億5000万ドル(約375億円=USAトゥデー紙試算)に達した。他球団が年俸抑制を進める中、大谷ら複数の長期大型契約を続々と締結し、約12億ドル(約1800億円)もの巨額投資を終えたフリードマンにすれば、文句の付けようのないオフだったに違いない。
2014年オフ、それまでレイズの編成本部長を務めていたフリードマンは、フロント陣としては当時史上最高額と伝えられた5年総額3500万ドル(約52億5000万円)でドジャースと契約を交わした。地方都市タンパの弱小球団だったレイズで'05年オフ、28歳の若さでGM(ゼネラルマネジャー)に就任。知将ジョー・マドン監督を招聘し、'08年には球団史上初のプレーオフ、さらにワールドシリーズに進出するなど、強豪への基盤を固めた。その手腕を、大都市ロサンゼルスでいかに発揮するのか。球界内では、常に注目されてきた。
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