森保ジャパンの1トップ事情を見ていくと、序列はあってないようなものだと感じています。
それは2023年の戦いを見ていけばよく分かります。2連戦を1セットとして括ると、行なわれた10試合のうち2試合続けて1トップのポジションで先発したのは11月(W杯アジア2次予選対ミャンマー代表、対シリア代表)の上田綺世だけ。1試合目にスタートから出た選手は2試合目で途中から、あるいはその逆のパターン、1試合目に出場しなかった選手が2試合目に先発するパターンなど様々ありました。
リレー形式で90分間、攻守両面においていかにインテンシティを下げないで持続できるか。交代を機にチームがパワーダウンするというケースだってあるなかで、それがまったくと言っていいほど見られなかった。限られた時間での活動ながら、選手個々の意識を含めてチームづくりがうまくいっているからこそだと言えます。
ターンオーバーは1トップに限らず全体としての特徴。ベストメンバーを11人に固定化していくのではなく、15人、20人とその数を増やしてチームの幹を太くすべく取り組んでいるのが理解できます。
ただ世界に打ち勝っていくため、1トップに求められる要素としては'22年のカタールワールドカップを経て大きく変わってきた印象を受けています。
カタールでは前田大然がコスタリカ代表戦以外すべて先発を務め、スピードという武器を踏まえつつも守備に対するウエートが大きく占められていました。しかし'23年に入って新たにスタートを切ってからは守備のベースを残しつつも、攻撃で何ができるかにかなり比重が置かれるようになりました。攻撃の起点になる、ペナルティボックス内で得点を奪い切る、この2つを強く意識させていると思えてなりません。
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