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<坪井慶介の視点>冨安の「予測、準備する能力」、板倉の「駆け引き」…「史上最強だと思う」CB陣をどう使い分けるか。【アジアカップの展望】

2024/01/19
坪井慶介氏が冨安ら人材豊富なディフェンス陣を徹底解説

 現在の日本のセンターバック陣は代表史上最強だという意見がありますが、僕もそう思います。欧州各国で主力を張り、CLやELにも出場している選手がいる。それほどの経験値は過去にはなかったものです。

 その筆頭が冨安健洋です。彼には誰が見てもわかる速さ、高さ、強さがあります。ただ、特筆すべきは「予測して、準備する能力」の高さですね。それがよくわかるのが、カウンター対応のときです。

 昨年9月、アウェーでのドイツ戦で冨安の守備がフィーチャーされた場面がありましたよね。左MFサネのドリブルを追走し、自陣ペナルティーエリアで追いつき、シュートをブロックしたシーン。確かに、彼の身体能力がいかんなく発揮されていました。

 ただ、本当に凄かったのは、あのスライディングに至るまでの「過程」なんです。

 ドイツのカウンターは、トップ下のビルツのハーフウェイライン手前でのドリブルから始まりましたが、そのとき冨安は中央のエリアではなく、日本から見たら左サイド寄りの位置に移動しています。そこに1トップのハバーツが流れていたからです。もし、ハバーツにパスを出されていたら、冨安がサイドに引っ張られ、ゴール前にビルツとサネの2人が入ってきて、日本の選手が戻りきれない可能性が高かった。実は最悪のシナリオはそちらの方でした。

Kenichi Watanabe
Kenichi Watanabe

 彼は、まず、日本にとって最悪のシナリオであるハバーツへのパスコースを切った。

 ただ、そのときもハバーツの方に寄りすぎず、中央にボールが出たときにも対応できるポジションを取っていました。だから、サネへのパスが出てから、追走を始め、最終的に追いついたわけです。

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photograph by Naoyoshi Sueishi

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