岡田彰布という男は根っからの関西人だよ。愛想も言えないし、不器用だし、見た目はほぼ藤山寛美さんやろ。選手としても器用なタイプじゃなかったし、それが監督としての野球にも表れていたよね。決して選手に媚を売らないし、何と言っても頑固だよな。
1度目の監督のときは5年間、一度も4番から金本(知憲)を外さなかったし、今回も優勝した昨年は大山(悠輔)を1年間、最後まで4番で使い続けた。数字だけを見れば、昨年の大山は3割を打ったわけでもなければホームランも20本に届いていない(打率.288、19本)。それでもしっかりとフォアボールを選び、後ろにつないで4番の責任を果たした。お前さんに任せた、という男を4番から動かさない頑固さが備わっていたからこそ、岡田は日本一の監督になれたんじゃないかな。
岡田は現役時代にセカンドという守りの要を任されてきただけあって、監督としても守りを重視する野球をやってきた。そこは頑固で、たとえば4番を任せた大山はサード、ファースト、外野までやっとったのに岡田がファーストに固定しただろう。おかげで大山は打つことに集中できた。岡田自身もプロ1年目は内野の全ポジションを守らされて、2年目からセカンドに固定された経験があったから、あちこち守る難しさはわかっていたと思う。
実際、岡田はセカンドっちゅう難しいポジションをすぐ自分のものにしたよね。上手いセカンドではなかったけど、捕れるボールを確実に捕る、地味で堅実なセカンドやった。監督としても、これといった強みを押し出す感じではなく、派手さもなかったけど、チームを2度のリーグ優勝に導いて、日本一にもなったんだから、阪神の大功労者だよね。
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