ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
日本人で2人目となるCLベスト8進出!
内田篤人が語るバレンシア戦の勝因。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byItaru Chiba
posted2011/03/10 14:30
CLベスト8進出を決め、GKノイアーと喜びをわかちあう内田
先制点を奪われ最悪な立ち上がりに見えたが……。
前半の17分にセットプレーの流れから、相手CBのリカルド・コスタに先制点を許してしまったのだ。
0-0のスコアでも勝ち上がることが出来た状況は一変し、シャルケとしては勝つしかなくなった。2-2でも3-3でも、引き分けであれば、バレンシアの勝ち上がりが決まってしまう。
最悪に近い立ち上がりのように思えるが、内田はこの試合の出だしを、こんな風にとらえていたという。
「最悪0-0でもいいっていうのが絶対にみんなの頭の中にはあったはず。でも、守りに入ったら大抵うまくいかない。特にこういう試合ではね。立ち上がりで……前にパスがつながりにくかったけど、相手を押し込んでいくという意図は良かったんじゃないかな」
そう考える理由は、この試合がホームゲームだったからだ。実際、今季のシャルケはCLのホームゲームでは全ての試合で勝ちを収めている。
「うまく言えないけど、ホームでやる場合は前がかりでも、何とかなっちゃうんですよね。相手とぶつかってボールが前にこぼれても、自分の方にこぼれたりとか。アウェイだとね、意味わからないけど、相手ボールになったり、カウンターを食らったりとかするんですよ。今日はホームだったので、点がとれるなという気がしていた。先に失点はしたくなかったのですが……」
15カ国の選手が集まる多国籍軍シャルケの戦い方とは?
「さくっとプランが崩れた」と苦笑した内田がキーポイントにあげたのは、前半終了間際のシーン。
シャルケの右MFファルファンが、FKから同点ゴールを決めたのだ。これで1-1の同点となり、ハーフタイムを迎えた。
「(同点ゴールで)ハッキリしましたよね。それが逆に良かったのかもしれないですね。とにかく点をとる。で、しっかりと守る。切り替えを速くするってね」
シャルケは多国籍軍団だ。トップチームには15カ国の選手が所属している。
「(ハーフタイムの間のロッカールームでは)余分なことは話したりしないので。でも、こういう結果だったので、終わってみれば『あぁハーフタイムのときにみんな同じことを考えていたのか』と分かるんです。鹿島のときなんかは、みんなミツオさん(小笠原満男)とか監督がバランスをとってやってくれていて、ゲーム中なんかでもいろいろやってくれますけど、こっちはね、個人だから。個人として、もうサッカーをよく知っている人が多いのでね」
暗黙の了解があった。そんな中で、シャルケは後半7分にカブラノビッチが勝ち越しゴールを決める。
2-1になった。
このまま試合が終われば、シャルケの勝ち上がりが決まる――。