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「名声もインタビューも、全部が嫌いでした」アリサ・リュウがじつは苦しんでいた“天才少女”の呪縛…なぜミラノ五輪で「メダルは必要ではない」と語ったか?
posted2026/02/22 11:02
ミラノ五輪で金メダルを獲得したアリサ・リュウ(アメリカ)
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
フィギュアスケート女子で金メダルを獲得したのは、アリサ・リュウ(アメリカ)だった。
団体戦を含め、大きなミスなく滑り切ったこともさることながら、大会期間中、いつもどんなときでも笑顔を絶やさず、心底楽しんでいるかのような姿が強い印象を放った。
リュウは一度引退してからのカムバック。20歳で迎えた2度目の大舞台だった。16歳で出場した北京五輪とは、年齢を差し引いてもまったく異なる表情をみせ、会場を沸かせることができた理由はどこにあるのか。そこにはこれまでのスケート人生が深くかかわっていた。
13歳で全米選手権優勝…「天才少女」と呼ばれた
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アリサ・リュウは2005年8月8日、カリフォルニア州クローヴィスで生まれた。父は中国出身で、天安門事件にかかわったことでアメリカに亡命、弁護士としてアメリカで活動していた。
フィギュアスケートが好きな父により、5歳のときスケートを始めた。
頭角を現すのに時間はかからなかった。いくつもの実績を上げる中、大きなインパクトを与えたのは2019年のこと。このとき13歳、ノービスというジュニアより下のカテゴリーにいる年齢ながら、全米選手権で優勝したのである。史上最年少での優勝であった。しかもフリーでは2本のトリプルアクセルを着氷させたことも衝撃を与えた。
2019-2020シーズン、ジュニアグランプリシリーズに参戦する。
ここでさらに世界に大きなニュースとなる活躍をみせる。まだ13歳の時点で出場したアメリカ大会で、4回転ルッツとトリプルアクセルを成功させ、優勝したのである。国際スケート連盟の公式大会で4回転ルッツを成功させたのは、女子ではアレクサンドラ・トゥルソワ(ロシア)に次いで2人目、4回転ジャンプとトリプルアクセルの両方を着氷したのは女子史上初のことであった。
続くポーランド大会では、トリプルアクセル-3回転トウループの連続ジャンプに成功。「天才少女」という肩書で報じられたのも、無理のないところだった。

