オリンピックへの道BACK NUMBER
「名声もインタビューも、全部が嫌いでした」アリサ・リュウがじつは苦しんでいた“天才少女”の呪縛…なぜミラノ五輪で「メダルは必要ではない」と語ったか?
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2026/02/22 11:02
ミラノ五輪で金メダルを獲得したアリサ・リュウ(アメリカ)
なぜリュウは「メダルは必要ではない」と言ったのか?
何がその原動力となったのか。
復帰するにあたり、コンタクトをとったコーチにこう伝えたという。
「今回は自分のルールでやります」
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その後も、取材の中で、「振り付けも音楽も、自分のルールでやっています。誰にも私が何をすべきか、指示はさせません」と話している。
「やらされていた」スケートと、自らの意思でやることを選び主体的に取り組むスケートと、向き合う姿勢は180度変わっていた。
やりたいから滑る。スタンスが一変したリュウは、「表彰台に上がることに関心はない」と言い続け、ミラノ・コルティナ五輪を迎えた。
金メダルを獲得し、首から下げたあと、取材に対し、こう話している。
「これ(金メダル)は、私に必要なものではありません。私に必要なのは舞台でした。そしてそれを手に入れることができました。だから何があっても大丈夫だったのです。ジャンプで毎回転んだとしても、この衣装を着ているんだから、それで大丈夫だったんです」
自分のスケートを、人生を表現したい。それが第一にあったからこその、あの笑顔であった。異彩を放つ金メダリストの誕生であった。

