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“寄せ集めチームの奇跡”2004年の日本学連選抜は箱根駅伝に何を残したのか?「地方や国公立大の選手にも光を」今も続く絆「これ、当時の襷なんです」
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小堀隆司Takashi Kohori
photograph bySankei Shimbun
posted2026/01/30 11:34
2004年の第80回箱根駅伝。アンカーの片岡祐介を中心に歓喜を分かち合う日本学連選抜のメンバーたち
「みんなで集まりたい」鐘ヶ江幸治が保管する襷
この一連の取材は昨年末から行われ、筑波大の鐘ヶ江幸治だけが年明けの取材だった。このわずかなタイムラグのあいだに、こんな大きなニュースが飛びこんできた。
箱根駅伝を主催する関東学連が記念大会の見直しに言及。2028年の104回大会以降は夏季五輪(直近は2028年ロサンゼルス五輪)と同じ年に、4年おきに全国化することを発表したのだ。全国化の年は出場チームの数が26に増え、予選会には全国の大学から参加が可能。さらには、通常年の「関東学生連合チーム」に代わって、「日本学生選抜チーム」が編成されるという。
開かずの門が再び開こうとしているのだ。
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早ければ2年後に、この80回大会のような、「打倒、関東」に燃えるチームが編成されるのかもしれない。
このニュースについて鐘ヶ江に感想を求めると、嬉しそうにこう話した。
「当時は確か、5大会ごとに全日本(選抜チーム)が組まれるという話があって、そこでまたみんなで集まれたら良いねって話をしていたんです。でも、いつの間にかうやむやになって、肩透かしばかりくらってきました。今回はちゃんとした発表なので、ぜひ口約束ではなくて実現してほしい。今度こそ、みんなで集まりたいです」
そして、手元から赤い布状のものを取り出し、こう続けた。
「これ、当時の襷なんです。私が(金栗四三杯)賞とかもいただいたので、一緒に預かっておいてよと言われて、ずっと大事に取ってある。次に集まるときには持っていきたいですし、できればこれを、その2年後の日本選抜でも使ってもらえたら嬉しいですね」
あくまでも提案だが、妙案ではないだろうか。新たに襷(歴史)を作るのではなく、24年前のチームから「日本選抜」の襷を受け取り、思いをつなぐのだ。多少、赤色はくすんでいても、襷には伝統に立ち向かっていった先輩たちの熱き思いが宿っている。
もしこの先、寄せ集めチームが強化過程で悩んだとしても、この赤い襷が行く先を照らす一つの道しるべとなることだろう。
<全5回の5回目/第1回~第4回とあわせてお読みください>

