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「W杯で初めてPKを外した日本人」駒野友一がいま明かす南アW杯PK戦の真相…なぜ左上を狙ったのか?「映像をフルで見るのは初めてかもしれない…」
text by

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byNaoki Nakanishi / JMPA
posted2026/01/29 17:35
南アフリカW杯の決勝トーナメント1回戦・パラグアイとのPK戦で外してしまい頭を抱える駒野友一。当初は“戦犯”とされることもあったが、誰が日本を代表するキッカーを責められよう
ノートパソコンを開き、あらためて南アフリカでのPK戦の映像を見てもらった。
誠実な人である。この手の取材は、もう数えきれないほど受けてきているはずなのに、嫌な顔ひとつしない。
「PK戦の映像をフルでちゃんと見るのは大会以来初めてかもしれない。スタンド、こんなに人が入っていたんですね。懐かしい。いや、懐かしいじゃないな。僕の見方が変わりましたね。現役だった頃は、悔しさを晴らすために、もう一度この舞台に立ちたいと思い続けていました。でも、今は選手ではなくなりましたから。コーチとして技術的な視点で見てしまいます」
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映像は、パラグアイ戦の延長戦終了直後から始まった。
「延長戦が終わるまで、PKのことなんて全然考えていませんでした。グループステージの段階から堅守を武器に勝ち上がったチーム同士の対戦なので、シュートが少ない展開になりましたけど、僕たちは最後まで得点を狙っていた。チーム内でも『このまま守りきるぞ』みたいな声は出ていなかったんですよね」
日本のベンチ前に輪ができる。水分を補給し、スタッフによるマッサージで体をほぐす選手たちを見つめながら、岡田武史監督が力強く発表した。
1番、遠藤!
2番、長谷部!
3番、駒野!
その声を聞いて、駒野は黙って頷いた。指名される予感も、覚悟もあった。“実績”があったからだ。
「選ばれたら、いくぞと」
グループステージ第3戦でデンマークを破り、決勝トーナメント進出を決めて以降、日本代表はトレーニングの最後に必ずPK練習を実施した。パラグアイ戦本番と同じロフタス・バースフェルド競技場のピッチで行われた前日公式練習でも、その締め括りとして選手全員がゴール前に集められた。
ゴールマウスに立つのは、川口能活、楢崎正剛、川島永嗣。そんな日本屈指の守護神を目の前にしても、駒野のキックが精度を失うことはなかった。右足を振るたびに、ボールがゴールネットを擦る音がスタジアムに響く。その背後では、指揮官がメガネを光らせていた。
「成功率を考えれば、PK戦のキッカーに選ばれるだろうなとは思っていました。3年前のアジアカップでもPK戦で2本、決めていましたから。監督は(イビチャ・)オシムさんでしたけど。嫌だなと思うことはないですよ。選ばれたら、いくぞと」
運命のPK戦が始まった。
【続きを読む】サブスク「NumberPREMIER」内「俺一人のせいで負けた。その責任ばかり感じて」駒野友一が南アW杯「PK失敗」の映像を見ながら考える“PKは運か実力か”「瞬間的に『もうちょっと高く蹴らないと』って」で、こちらの記事の全文をお読みいただけます。
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