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「想像と違うな…」上野裕一郎監督は“速くない選手”をどう教えたか? 立教大“箱根駅伝への道”の意外なスタート「僕は監督が来てくれて幸せでした」
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佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2026/01/23 17:01
立教大はいかに箱根予選会突破を成し遂げたのか? 日本トップの上野裕一郎監督の就任で部員は戦々恐々としていたが……
だが、上野が就任して、練習メニューを考えてくれるようになり、このシーズンは自分の練習に集中できた。予選会前の調整では、栗本がやったことのないような、5000m3本といったレースを意識した練習を行ない、いよいよ箱根に挑戦するんだと気持ちが盛り上がった。
「この時、本気で挑戦することの楽しさを初めて味わいました」
目標は、予選会20位
チームの目標は、予選会20位以内となった。
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栗本は学生連合チームに入れるように、自身は前年度の66分59秒から目標を64分切りに設定しつつ、ひとつでもチーム順位を上げていきたいと考えていた。
斎藤は、チーム順位はそこまで気にしていなかった。個々の頑張りが結局はチーム順位につながるからでもあった。
「20番って、箱根にぜんぜん及ばないじゃないですか。だから、そこには重きを置いていなくて、自分がどこまでやれるのかだけを考えていました。ワンチャン、学生連合もあるかなと思っていましたが、絶対に入れるという自信はなかったです」
第96回箱根駅伝予選会、立教大は23位だった。チームのトップは斎藤で66分04秒の126位。栗本は66分43秒で171位に終わり、石鍋は70分13秒で313位だった。
チームも、栗本も、斎藤も、目標を達成することができなかった。
陸上人生で一番楽しい時代だった
レース後、OBや関係者、家族らの前での報告会で、栗本は一番最初に前に立ち、「応援していただいたのに、すいませんでした」と頭を下げ、号泣した。
「予選会は、後半抜かれまくって、嫌な気持ちで終わりました。でも、チームは23位で前年よりも5つ順位を上げることができた。予選会に向けてひとつになって、目標には届かなかったですけどチームとしてやれた感がありました。
僕の陸上人生で一番楽しい時代でした。それは胸を張って言えますね。何かを達成するために全身全霊をかけて挑戦するのがスポーツの醍醐味だと思うので、それをわずか1年ですけど、経験できた。僕は、あの時、上野さんが監督として来てくれて幸せでした」
この年で卒業した栗本は現役を引退し、現在はM&Aにかかわるベンチャー企業で働いている。
「今はまったく走っていません。走る時間があれば働きたい。あの時の駅伝魂で、今度は仕事に集中して、年収1億円を目指していきたいですね」
立教大の箱根への道は、新たな段階に入ろうとしていた。
〈全4回の2回目/3回目につづく〉


