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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「あれ? 左足が動かない」箱根駅伝“3代目山の神”神野大地を襲った難病とは…1年以上原因不明の不調で「引退も考えたけど諦めきれず…」
posted2025/08/29 11:05
MABPマーヴェリックで選手兼任監督として活躍する神野大地だが、実はこの2年難病に苦しめられていた
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph by
Kiichi Matsumoto
「あれ? おかしい。左足が思うように動かない」
神野大地が左足に違和感を覚えたのは、2年前の2023年7月ごろだった。
右足をついて左足を運ぼうとすると、何かに邪魔されてワンテンポ遅れ、ブレーキがかかったような感じになった。それは走っている途中に起こるのではなく、最初の1歩、2歩から症状が出て、8キロぐらい走るとイヤな感覚が徐々に消えていった。
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「すぐに病院で医者に診てもらったんですけど、どこも痛くないので、どこが悪いのか、よく分からないんですよ。でも、治療に行くと何かしらの理由をつけられるので、股関節が詰まっているとか、前腿の張りがあるからほぐしたよとか言われるんですが、ハッキリした原因は分からないままだったんです」
明確な原因が分からないまま時間が過ぎ、それでも走り続けていくと、頭のなかである“恐怖”が膨らんでいった。
走る気力が奪われるほどの不調
「症状的に、“抜け症”(走行中に突然足の力が抜ける状態)の一種かなと思ったんです。抜け症になった選手からは思うように走れないというのを聞いていたし、そういう選手を大学の時に見ていたので。陸上界で抜け症になったらもう(選手生命が)終わりなんですよ。でも、そう診断されたわけじゃなかったですし、それを世間に発表することが自分はどうしてもできなくて、股関節の故障と言っていたんです」
走れないストレスが溜まり、走ることが嫌になった。それでも練習を継続していたが、8月のある時距離走を始めると、走る気力を奪われるぐらい足が動かなかった。
「スタッフの(髙木)聖也さんや中野(ジェームズ修一)さんと話をして、これは1回練習をストップした方がいいということになり、10日間ほど走るのをやめて名古屋の実家に戻りました。その後、東京に戻ってきて再び走り始めたんですけど、休む前と何も変わらなくて……。
MGCまで残り1カ月を切っている中、練習はするんですけど、動きが悪すぎて、それを我慢して走るのがすごくイヤでした。正直、もう1歩も走りたくないみたいな気持ちになっていたんです」

