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「月曜完全オフ」「ゆで卵を数時間ごとにモグモグ」公立進学校野球部は“私立優位”にどう立ち向かうか「1人で使える時間こそ…」静岡高校のケース
posted2025/07/13 06:02
静岡高校の池田監督は名門公立校をどのようにして強くしようとしているのか
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間淳Jun Aida
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Jun Aida
屈指の進学校が“月曜完全オフ”にしているワケ
静岡県内屈指の進学校でもある静岡高校野球部では、私立の強豪校ほど練習時間を確保できない。平日の全体練習は午後7時半まで。月曜日は集合もなく、完全オフとなっている。チームを率いる池田新之介監督が意図を明かす。
「それぞれが自分の課題と向き合う時間をあえて残しています。自主練習で個のスキルアップを図る選手もいれば、将来を見据えて勉強する選手もいます。1人で使える時間にこそ、成長のカギだと考えています」
1学年10~15人と少数精鋭のチーム編成は、「個を伸ばす」方針と親和性が高い。そして、甲子園常連校の私立ほどではないとは言え、恵まれた練習環境も静岡高校にはある。その環境を最大限に生かして、個の力をチームの力へと変えている。
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静岡高校には他の部活と共用のトレーニングルームがある。野球部ではシーズン中は週1回、オフシーズンは週2~3回の頻度でトレーニングの日を設けている。その他の時間でも、選手たちは自ら時間を確保して積極的にフィジカル強化に取り組んでいる。
トレーニングを指導するのは外部から招いた専門のフィジカルトレーナー。ダンベルやバーベルなどの器具を使ったフリーウエイトを中心に、可動域を高めるモビリティトレーニングや体幹トレーニングも導入して質の向上を図る。ランニング動作は野球における全ての動きに通ずるため、陸上トレーニングの指導も受けている。
専門家に依頼するのは、限られた時間で効率よくパフォーマンスアップにつなげる狙いがある。また、選手個人の筋力や柔軟性などを数値化し、自分の長所と短所を把握した上で、目的意識を持ってトレーニングしている。池田監督は「単に体を大きくすることが目的ではありません。野球に必要な体づくりを個々に合った方法で高めていくことが大切なんです」と説く。
理想の体型は「体脂肪率15%未満」
管理栄養士も体づくりの面で重要な役割を担う。

