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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「正直、通用しなくなってきている」カブス・今永昇太が直面したメジャー2年目の“異変”「別人にならなければ…」シーズン終了後真っ先に向かった場所
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph byGetty Images
posted2025/12/28 11:03
1年契約でカブスに残留した今永の収穫と課題とは…
夏場を迎え、スランプに陥る前兆は本人も周囲も感じていた。長谷川氏が今永の当時を振り返る。
「ストレートの球威はないけど、それを隠す。スイーパーをたくさん投げ、相手の裏をかく配球でしのいだ。実は夏くらいに、今シーズンを乗り切ったとしても、来年はこのままじゃきついな、と感じました。シーズンが終わったら、フロリダのクレッシー(スポーツ・パフォーマンス)に行かないか?と提案しました。シーズン終盤になるにつれて、体のバランスがズレて、同じリリースポイントで投げているつもりがちょっと下がっていました」
今永のアームアングル(ボールをリリースする際の腕の角度)は昨季が40度、今季は36度。4度分だけサイドスロー気味になっていた。つまり、縦方向に“伸び”を生む回転をかける力が分散され、横回転のシュート回転が多くなる。ホップせず、シュートする球質への変化は、今永特有の伸びのあるストレートを失い、被本塁打が増える、という悪循環につながった。
「遅くて打たれない魔球」は蘇るか
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ポストーズンでは2登板(6回2/3)で3本塁打を浴びるなど防御率8.10の数字が残った。悔しい気持ちを抱え、不完全燃焼のままシカゴからフロリダに飛んだ。「クレッシー・スポーツ・パフォーマンス」では動作解析を受けた。角度にして4度肘の下がったフォームを改善するために、このオフはどんなトレーニングに取り組むべきか、アドバイスを受けた。そのトレーニング方針は、カブスのスタッフや球団幹部にも共有された。
1年契約でカブスと再契約を結び、メジャー3年目に臨む。26年オフに新たな複数年契約を狙うため、今永の“遅くて打たれない魔球”の復活は不可欠だ。それは、3月に開催されるWBCで日本代表が連覇を目指すためにも大きなカギとなる。ではそのWBCで、今永が託される役割はどのようなものなのか。〈つづく〉

