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「正直、通用しなくなってきている」カブス・今永昇太が直面したメジャー2年目の“異変”「別人にならなければ…」シーズン終了後真っ先に向かった場所 

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山田結軌

山田結軌Yuki Yamada

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posted2025/12/28 11:03

「正直、通用しなくなってきている」カブス・今永昇太が直面したメジャー2年目の“異変”「別人にならなければ…」シーズン終了後真っ先に向かった場所<Number Web> photograph by Getty Images

1年契約でカブスに残留した今永の収穫と課題とは…

 2年目の今季も決して、成績が悪かったわけではない。9勝8敗、防御率3.73の数字を残した。しかし、被本塁打の多さが目立った。プレーオフ争いの終盤。8、9月の10試合中9試合でホームランを許した。ラスト9登板連続で本塁打を打たれ、その合計は15本にものぼった。

 まさかの急降下。周囲は5月4日のブルワーズ戦で一塁ベースカバーに走った際に左太もも裏を痛めたことが大きな原因、と考えているようだが、代理人を務めるオクタゴン社の長谷川嘉宣(よしのり)環太平洋野球部長はこう説明する。

「調子を落とした原因は多くの人の想像通り、ストレートの球速が落ちたこと。でも(左)ハムストリングをケガする前から、実は球速は落ちていたんです。去年ほど、強度はない、とみていました」

2.5cm分「伸びなくなった」ボール

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 前述した通り、直球の平均球速は昨季91.7マイル(147.6km)に対し、今季が90.8マイル(146.1km)。三振率は9.0から7.3に低下した。直球の質を示す一つのデータ「Vertical Drop=重力を含む実際の落ち幅」は、前年が14.4インチ(36.5cm)に対し、今季は15.5インチ(39cm)。単純な言葉で言うならば今季は2.5cm分、伸び(打者の資格で浮き上がる錯覚)が減った。つまりボールが“垂れていた”ということだ。以前ならば打者が打ち損じていた球は、予測しやすい軌道で打ちやすくなった、ということになる。

 地区シリーズでブルーワーズに敗退後、今永は来季への決意を明かしている。

「シーズン最後と、ここ(ポストシーズン)であまり力になれなかった。シーズンを乗り切る投球術とこのポストシーズンで出力を上げる、先発投手だったら短いイニングで94マイル(約151km)とか95マイル(約153km)とか(を投げて抑える)。出力を上げるような投球が全くできなかった」

察知していたスランプに陥る“前兆”

 5月初めに左太もも裏を痛め、復帰した6月下旬から決して結果は悪くなかった。8月から7試合連続でクオリティー・スタート(6イニング以上を投げ、自責点3以下)をマークした。だが、長谷川氏によれば、本人にとっては「だまし、だまし」抑えていた、という。

【次ページ】 「遅くて打たれない魔球」は蘇るか

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