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WBCの日本戦…なぜ東京開催試合が減った? WBCテレビ放送が消えた“本当の意味”「日本から米国へパワーバランスが完全に逆転」激変するスポーツ放送の今
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水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byNaoya Sanuki
posted2025/12/18 17:02
地上波放送が消える来春のWBC。Netflixの進出はMLBにとっても渡りに船だった
Netflix独占…日本で成功なるか?
さて日本独占配信はどうなっていくのだろう。
Netflixはこれまでスポーツコンテンツ配信において、大きな成功も大きな失敗も経験している。大きな成功は、モータースポーツのF1。2019年にF1の舞台裏を追ったドキュメンタリーシリーズ「Drive to Survive」(邦題:栄光のグランプリ)の配信を開始すると、ドライバーだけでなくチームの裏方にもスポットを当て、ライバルとのしのぎの削り合いや人間ドラマをふんだんに盛り込んだ物語が若者たちに刺さり、クールなスポーツとして米国でブレイクした。2023年には視聴契約者全体の5分の1がこのシリーズを視聴するほどの人気になり、米国でのF1そのものの人気を大きく引き上げるきっかけになった。今回の日本独占中継も、150億円もの巨額を投じているだけに、かなりディープな部分までカメラが入る契約になっている可能性もあるだろう。
失敗した例もある。2024年11月15日、テキサス州アーリントンで行われたマイク・タイソンと俳優兼プロボクサーとして人気のジェイク・ポールのボクシングマッチを世界独占配信したときで、「配信の大惨事」と呼ばれた。試合中に世界中からのアクセスが集中し過ぎ、ディバイスの画面がローディングしたまま固まるなど接続障害が発生し、映像の質も低下するなどトラブルが頻発したという。そのときよりもインフラは強化されていると信じたいが、日本では過去の「バルス祭り」などが示すように、大勢が盛り上がるとネットのサーバーがダウンするほどの威力があるため、気になるところだ。
