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「ミトマもウエダもエンドウも…決して批判ではない」日本代表W杯8強へ…元監督トルシエがズバリ提言「モリヤスは秘密にしておく必要が」
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田村修一Shuichi Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2025/12/21 11:04
北中米W杯では難敵ぞろいのF組に組み込まれた日本代表。ベスト8進出の可能性はあるのか、トルシエが直言する
「他にやるべきことはそう多くない。選手はすでに揃っている。負傷者の復帰待ちはあるが、グループも確立している。三笘や守田英正、伊藤洋輝、町田浩樹、冨安健洋、鈴木彩艶らが戻れば、日本は強固なグループを形成できる。グループの80%はすでに明らかだ。だからこれからは、怪我人を出すことなく本大会に向けてロジスティックを万端に整える。あとはディテールの問題だけだ。
ただ日本は、今の段階でディテールまで明らかにしたくないのだろう。セットプレーに関して、森保は具体的なやり方を隠そうとしている。日本のコンビネーションはこうだというのを、彼はまだ世界に知られたくないはず。サプライズの準備もあるだろうし、それ以外もなるべく秘密として保ちたい。試合の視察はもちろん、映像ですべてを見ることができるから、一旦明らかにしてしまうと、すべてが白日の下に晒されてしまうからだ。そこは秘密のままにしておく必要がある」
――具体的な準備は大会の直前になるわけですね。
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「そうだ。森保はそこをよく理解している。ターンオーバーが可能なグループを森保は構築した。佐野海舟はボリビア戦ではプレーしなかったが、戦力として大いに頼りになる。藤田譲瑠チマも、戦力として計算できる。他にも中盤には、田中碧や鎌田大地、遠藤、守田など屈強な選手が揃っている。2つのポジションに6人の選手が名を連ね、質も量も申し分ない。
そしてサイドでは右に伊東純也と堂安。守備を強化したければ菅原由勢を起用すればいいし、ストッパーもできる望月ヘンリー海輝はよりポリバレントだ。左には三笘や前田大然、中村敬斗。守備的なオプションとして瀬古歩夢の起用もある。そして前線には、三笘も堂安も中村も久保も前田も南野もいて、トップには上田と小川航基が控えている。グループはこれ以上強化のしようがない」
それを決めるのは私ではなくモリヤスだ
――日本は不安を感じることなく、穏やかに年末を迎えられるわけですね。
「あとは移動の負担を軽減できるキャンプ地を選定し、本大会直前の1カ月を抜かりなく準備するだけだ。今年、日本代表が得た自信は大きい。世界最速で予選を突破し、しかも余裕を持っての突破だった。遠藤や守田、三笘らが負傷したために、新しい選手のテストもできた。森保はクリスマス休暇を、とても穏やかに過ごすことができるだろう。あとは抽選会の後に対戦相手を分析し、試合のシナリオを準備するだけだ(その後、W杯グループステージ対戦国がオランダ、チュニジア、欧州プレーオフB勝者に決定)。ただしシステムを3バックにするのか4バックにするのか。それを決めるのは私ではなく森保だ」
――いろいろ話を伺えて有意義でした。メルシー、フィリップ。

