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「日本代表は本当にやりづらい」オランダ代表(トッテナムCB)なぜW杯同組日本を“難敵”評価するのか…「シンジ・オノが忘れられない」オランダ人記者も危機感
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田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2025/12/11 18:40
写真はトッテナムMFシャビ・シモンズ。筆者はW杯の組み合わせ抽選会のあと、オランダ代表の選手たちに話を聞いた
こちらが「日本の記者で、オランダと同組に……」と聞いたところで、ファンデフェンは「あぁそうなんだ」と言わんばかりに柔和な笑みを浮かべた。周知の記者から「ミッキー(ファンデフェン)は実直で礼儀正しい好青年」と聞いていたが、その通りの人物のようだ。ファンデフェンはこう答えた。
「日本は本当に優れたチーム。これまでのW杯を見ても、どの対戦国にとっても非常にやりづらい相手だったのは明らか。今回はW杯の初戦になるし、私自身も簡単な試合にならないと思っている。本当に難しい相手だ。オランダの誰もが、日本の強さを知っている。W杯はまだ先の話だが、個人的にも日本との対戦を楽しみにしている」
オランダ人記者「オノが忘れられない」
この試合にはオランダ人記者も訪れていた。話を聞いたのは、オランダメディア『AD』でプレミアリーグを担当するヘールト・ランゲンドルフ記者。同記者も日本に警戒心を示し、日本の印象について次のように話した。
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「日本は、かなり力をつけている。顕著だったのはカタールW杯。ドイツとスペインを撃破し、決勝トーナメントに進んだ。しかも、前大会からさらに力をつけている印象だ。プレミアリーグでは三笘薫、鎌田大地、田中碧、遠藤航らが活躍している。10月には強化試合でブラジル代表も倒した。正直に言って、日本は難敵だ。日本と同グループに入って危機感を覚えた」
ランゲンドルフ記者によると、元日本代表選手の影響により、オランダ国内での日本の評価は非常に高いという。同記者は言葉を続ける。
「フェイエノールトで活躍した小野伸二のインパクトが凄まじかった。足技とドリブル、視野の広さに裏打ちされたスルーパス──。すべてが高度だった。私自身も非常に驚いたよ。当時のフェイエノールトには小野を始め、点取り屋のピエール・ファン・ホーイドンク、技巧派FWのヨン・ダール・トマソン、そして若かりし頃のロビン・ファンペルシーと、タレントが揃っていた。実際に2002年のUEFAカップ(現UEFAヨーロッパリーグ)で優勝を果たしたからね。オランダのサッカーファンは、チームの中心にいた小野を今でも鮮烈に覚えているんだ。小野以降、日本人選手の評価が高い」
「急いでるんだ」シモンズの“塩対応”
実は、筆者がファンデフェンと同じぐらい話を聞きたかったのが、シモンズだった。バルセロナの下部組織出身で、U−14では主将を務めた逸材だ。当時から「次世代のスター」と注目されていたが、敏腕代理人ミノ・ライオラの主導により、16歳でパリ・サンジェルマンに移籍した。
しかしフランスでは大成せず、2022年に母国オランダのPSVに渡った。ここで母国の英雄ルート・ファン・ニステルローイ監督の指導を受け、年間20ゴールを叩き出した。


