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「フル稼働したらどこまでやれるのか」DeNA平良拳太郎の自分への“期待と危機感”…繰り返す故障離脱を来季こそ克服へ「ある取り組み」とは
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2025/12/08 11:00
健康で投げていれば先発として十分な働きを見せるが、毎年の故障離脱が課題の平良拳太郎。リリーフも経験した今季を経て、フル稼働への思いを語った
「データを見ても、ボールの数値やコマンド(制球)能力、変化球の質というのは以前と変わることなく、悪くはないんです。だから技術というよりも、僕はコンディションの整え方を人よりも丁寧にやらなければいけないと感じています。人と同じようなことをしていてはダメだって」
“無事これ名馬”という言葉があるが、一方で能力はあるもののフィジカルやコンディションに問題を抱え、日々自分と向き合い打開しようとしている選手は多い。平良もそのひとりだ。
「体のどこが弱くて、どこの回復が遅いかというのを感じないといけない。あと、(体の部位が)弱くなってきたときに代償動作が増えてしまうことが、一番怪我に繋がってしまうので、やはりもう少し体の連動性を高めなければいけないと思っています」
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代償動作とは、本来の動作をしようとしたときに、筋肉や関節の機能障害により正しい動きができないため、別の筋肉や関節を代わりに使って動作を補おうとすることだ。器用さもあるのだろうが、これにより平良は肘をはじめ腰や背中、手首などを痛めてきている。とにかく体の声にどこまで敏感になれるのか、そしてフィジカルの強さと精緻なコンディショニングが平良には必要だ。
一軍復帰と初めてのブルペン待機
7月31日のヤクルト戦(横浜スタジアム)で一軍復帰すると、以降は投げ抹消を繰り返しながらも6試合(先発5、救援1)を投げ、3勝1敗1ホールドを挙げ、チームのクライマックスシリーズ(CS)進出に貢献している。
後半戦の平良は、右打者に対しシンカーを増やすなど、持ち味であるゾーンを広く使った打ち取るピッチングを披露し、存在感を示した。コンディションが整った際の、ピッチングをまとめる能力は依然として高いことを証明した。
そして特筆すべきは、今季、プロになって初めてブルペンに入ったことだろう。10月1日のヤクルト戦(横浜スタジアム)でリリーフとして初めてマウンドに立ちホールドをマークすると、CSでもブルペン待機となり、10月12日の巨人戦で2回無失点の好投を見せ、ファーストステージ突破に一役買っている。このブルペン初体験について平良は真摯な表情で次のように語った。

