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「外国馬はジャパンカップを勝てない」世界最強カランダガンはなぜ“通説”を覆せたのか?「約10億円獲得…じつは計画的だった」衝撃レコード勝ちのウラ側 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2025/12/01 17:05

「外国馬はジャパンカップを勝てない」世界最強カランダガンはなぜ“通説”を覆せたのか?「約10億円獲得…じつは計画的だった」衝撃レコード勝ちのウラ側<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

マスカレードボールとのデッドヒートを制したカランダガン(仏)。20年ぶりの外国馬によるジャパンカップ優勝となった

“約10億円獲得”陣営の本気度「じつは長期計画だった」

 と、いろいろ書いたが、何より大きな勝因は、陣営の「本気度」だったのではないか。

 レース後の共同会見で、オーナーのアガ・カーン・スタッドのザラ王女は、ジャパンカップ参戦を「長期にわたって計画した」と言い、グラファール調教師も「王女が言ったようにかなり前から計画していた」と強調した。それに先立ち、同調教師は追い切り後の会見で、ジャパンカップのあと香港に参戦する可能性について問われると「レース間隔が短すぎるので、おそらく参戦しないと思う」と答えていた。

 高速馬場にも適性あり、と見込んでいたからこそ、ここ一本に絞ってきたのだろう。

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 カランダガンは1着賞金5億円に加え、報奨金制度の対象になっている英チャンピオンステークスなどを勝っているので、ボーナスの300万ドル(約4億6500万円)を含め、10億円近い賞金を獲得した。

 これで英仏日の3カ国でGIを4連勝。このクラスの馬を、オーナーの理解を得たトップトレーナーが本気で仕上げ、トップジョッキーを配してくると、日本馬の独壇場と思われた舞台でも勝たれてしまう、ということか。

 フランス調教馬としては1987年のルグロリュー以来38年ぶりの勝利だった。カランダガンは当日の馬体重が456kgとさほど大きくないのだが、38年前に勝ったルグロリューも410kgという小柄な馬だった。競馬は「馬格」ではない、ということを見せつける一戦だった。

「向こうはアウェイ…やっぱり世界一だな」

 検量室の裏で、マスカレードボールを管理する手塚貴久調教師は「1回(前に)出てるんだけどなあ」と苦笑し、こうつづけた。

「レース前の状態もよかったし、頭差だけ残念でした。勝った馬は強い。向こうはアウェイで環境の変化があるなかだから。すごいな、やっぱり世界一だな、と感じました」

 カランダガンがレコードでジャパンカップを制したことにより、日本の高速馬場で勝つような馬は欧州の重く力のいる馬場に適性はない、とは言い切れないことが証明された。日本だけが特殊な競馬をしている、というわけではないのだ。

 カランダガンがやったことの逆を、マスカレードボールを筆頭とする日本馬たちに、凱旋門賞をはじめとする欧州のビッグレースでやってほしい。

 先年同じ「レーティング世界一」のイクイノックスが披露した圧勝劇とはまた別種の、素晴らしい「世界戦」を見せてもらった。

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