沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
「外国馬はジャパンカップを勝てない」世界最強カランダガンはなぜ“通説”を覆せたのか?「約10億円獲得…じつは計画的だった」衝撃レコード勝ちのウラ側
text by

島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKeiji Ishikawa
posted2025/12/01 17:05
マスカレードボールとのデッドヒートを制したカランダガン(仏)。20年ぶりの外国馬によるジャパンカップ優勝となった
バルザローナが語った戦略「ルメールについていけば…」
カランダガンの勝因は何か。スタートからゴールまでの2分20秒3に限って見ていくと、一番大きかったのは位置取りだろう。
カランダガンは、他馬とほぼ横並びのスタートを切り、中団馬群の後ろにつけた。バルザローナはこう振り返る。
「スタートはよかったが、鋭くダッシュする馬ではありません。外から他馬が内に入ってきてキツいときもありましたが、いい位置を取ることができ、リズムもよかった。すんなり、ルメールの馬(マスカレードボール)についていく形になりました。彼についていけば勝利に近づくと考えていました」
ADVERTISEMENT
同じフランスの偉大な先輩であるルメールが乗る本命馬の直後は、前でフラフラするなどおかしな動きをしないという意味でも、勝負所や直線で下がってくることがないという意味でも「ベストポジション」だった。
1000m通過は57秒6というハイペースだった。
「速い流れもこの馬には問題なく、落ち着いてレースができました」とバルザローナ。
ルメールも、レース前、カランダガンについて「いろんなペースに慣れていて、速い馬場が好き。一番のライバルになる」と話していた。
また、グラファール調教師は、この馬のよさとして「いったん加速するとそのスピードを維持できること」を挙げている。
ラスト3ハロンは11秒8-11秒5-11秒3と、ゴールに近づくほど速くなる「加速ラップ」になったのだが、速い流れのなかで、さらなる加速が求められる過酷な展開で適性が生きた、ということか。
こう考えると、3歳でありながら、頭差の2着となったマスカレードボールもまた、相当な器であることがわかる。一度は勝つかに見えたほどで、マスカレードの後ろ、3着のダノンデサイルまでは2馬身半も離れていた。
ゴール後、ダノンデサイルと接触して、ルメールと、ダノンの戸崎圭太が落馬するアクシデントがあったが、幸い、大事には至らなかったようだ。


