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顕彰馬キタサンブラックの深イイ話。
北島三郎に清水師、武豊は天に……。

posted2020/06/12 20:00

 
顕彰馬キタサンブラックの深イイ話。北島三郎に清水師、武豊は天に……。<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

'17年、ラストランの有馬記念を制覇。単勝1.9倍の1番人気に応えた。

text by

平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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Satoshi Hiramatsu

 現役時代、JRAのGIを7勝したキタサンブラックが顕彰馬に選定された。

 記者の投票によって選定される顕彰馬は、JRAの発展に多大な貢献のあった競走馬の功績を讃える事が目的。投票者数の4分の3以上の票を得なくてはならない基準の中、キタサンブラックは有効投票数196票中158票。80%超の支持を得て、2年前に選ばれたロードカナロア以来34頭目の顕彰馬となった。

 キタサンブラックのオーナーはご存知、北島三郎氏。日本の歌謡界を語る時、抜きには出来ない大御所だ。北島氏が最初に馬を持ったのは1963年。以来、なかなか大きなところを勝つ馬は持てなかったが、途切れる事なく毎年、馬を買い続けたと言う。

第一印象は、綺麗な目。

 そんなある日、北海道の日高にある牧場を回った時、出会ったのがキタサンブラックだった。ヤナガワ牧場で最初に見た時「その綺麗な目が気になった」というのが第一印象だったそうだ。一旦は牧場を引き上げたが、車の中から牧場に電話をかけて手に入れた。勿論、当時はその馬がGIを7つも勝ち、2年連続で年度代表馬に選ばれるほど活躍するとは微塵も思っていなかったと言う。

 栗東トレセンの清水久詞厩舎に入厩した同馬は2015年1月、東京競馬場、芝1800メートルの新馬戦でデビューする。この競馬ぶりがなかなか強かった。4コーナーを回ってもまだ後方にいたが、追い出すと一気の伸び。最後は着差以上の楽勝と思える余裕の手応えで先頭のゴール。さすが後のGIホースと思える走りを披露してみせた。

 その後、自己条件、スプリングS(GII)と連勝。皐月賞(GI)、ダービー(GI)はそれぞれ3、14着と敗れたが、秋には開花。セントライト記念(GII)を勝利後、菊花賞(GI)も優勝し、自身初のGI制覇。北島氏にとってもオーナー歴53年目にして初めてとなるJRAのGI制覇を成し遂げたのだった。

【次ページ】 菊花賞の優勝が証明したこと。

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