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「外国馬はジャパンカップを勝てない」世界最強カランダガンはなぜ“通説”を覆せたのか?「約10億円獲得…じつは計画的だった」衝撃レコード勝ちのウラ側
posted2025/12/01 17:05
マスカレードボールとのデッドヒートを制したカランダガン(仏)。20年ぶりの外国馬によるジャパンカップ優勝となった
text by

島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Keiji Ishikawa
「レーティング世界一」の外国馬が20年ぶりに日本の牙城を崩した。ゴール後、場内に詰めかけた7万7029人のファンから大きな拍手が沸き起こった――。
第45回ジャパンカップ(11月30日、東京芝2400m、3歳以上GI)で、ロンジンワールドベストレースホースランキング1位のカランダガン(セン4歳、父グレンイーグルス、仏F・グラファール厩舎)が、外国馬として2005年のアルカセット以来20年ぶりに優勝。2018年のアーモンドアイの記録をコンマ3秒更新する2分20秒3という驚異的な世界レコードを叩き出した。
「外国馬はJCを勝てない」思い込みを覆した“本物”
最後の直線、4番人気のカランダガンに騎乗したミカエル・バルザローナが大きなアクションでゴーサインを出した。
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その内に併せた1番人気のマスカレードボールのクリストフ・ルメールも左鞭でパートナーを叱咤する。
カランダガンとマスカレードボールは馬体を併せて激しく叩き合い、先に抜け出したクロワデュノールを並ぶ間もなくかわしてさらに加速する。
バルザローナが右鞭を振るい、ルメールが左鞭を入れる。互いに馬体を寄せ合い、これぞワールドクラスと言うべき凄まじいマッチレースになった。
ラスト50mほどのところでは僅かに内のマスカレードボールが前に出ていたが、ゴールまでの5、6完歩でカランダガンが頭差逆転して競り落とし、栄冠を手にした。
400m以上つづいたマッチレースは、2分20秒3という驚異的なレコードタイムで決着した。ロンジンのロゴが記されたゴール脇のデジタル時計にタイムが掲示されると場内がどよめき、つづいて、大きな拍手が沸き起こった。ただ1頭の参戦だった外国馬による20年ぶりの偉業を讃える拍手であり、「いいものを見せてもらった」という感謝の拍手でもあった。
外国馬が高速馬場のジャパンカップを勝つシーンは、もう二度と見られないのではないかと思われていた。が、レーティング世界一で欧州年度代表馬に輝いた“本物”は、その思い込みをあっさり覆した。
それまで自身の芝2400mの最高タイムは2分28秒28だったが、一気に8秒ほども時計を詰めてしまった。8秒というと、150mほどの差だろうか。まったく異質の競馬を初めて経験したにもかかわらず、日本の最強馬をねじ伏せたのだから、恐ろしい馬だ。


