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慶大ドラフト候補が“カブスから電撃オファー”…伝えた内定先企業の反応は? ドラフト会議前に「数社から内定」常松広太郎が語る“進路の胸中”
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柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byMasaki Fujioka
posted2025/12/01 11:02
常松広太郎(慶應大野球部4年)にインタビュー。その半生と就活、カブスからオファーの裏側を聞いた
常松 もちろん、事前に相談はしていました。GSで働く人たちはとにかく自信を持っているのが大きな特徴ですから、内定を出した自分のような人間に対しても、前向きなチャレンジには背中を押してくれました。『ぜひチャレンジしてみろ』と。最高の企業だと思います。
——カブスからオファーがあった時も、当然、相談はしたわけですよね。
常松 先方を驚かせてしまうことがないように細心の注意を払いながら、説明しなければならない方には直接会ってお伝えし、自分が悩んでいることもお伝えしました。そうですね……いろんな調整が必要でした。僕は自分を支え、応援してくれている方々が納得する形じゃないと挑戦したくはないと思っていた。そういう調整力は、社会に出た時に必ず必要になってくるだろうし、試練だと受け止めていました。
「カブスの経験は必ず生きる」
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——もしメジャー挑戦がうまくいかなかった時には、改めてGSに入社することまで話し合っているのでしょうか。
常松 保証は何もありません。しかし、自分の中ではメジャー挑戦がうまくいかなければ、(GSに)戻りたいと思っています。GSはアメリカの投資銀行ですから、クライアントもアメリカのファンドなどが多い。そういった方々と仕事をするとなった時に、カブスでの経験は必ず生きると思いますし、たとえ失敗談ばかりであっても、会合やミーティングの場などで生きる場面は必ずあると思う。とにかくチャレンジし続ける事が大事だと思っています。
——口にする言葉も、建設的な将来のビジョンも、22歳とは思えませんね。まるで丸の内や虎ノ門で働くビジネスマンにインタビューをしているようです。大人びていますね。
常松 父親の影響もあると思いますが、とにかく周囲が優秀なんです。湘南藤沢から5人組で動いてきた親しい仲間のひとりは、大学を3年で卒業して今、大学院の2年生。英語も話せるんですけど、司法試験の予備試験には既に合格していて、日本にある4大弁護士事務所のすべてから内定をもらっている。あとは建築士を目指している友人も、バイリンガルで、ヨーロッパの名門大学院で建築を学ぶことになったりしていて、とにかくインパクトで僕を上回るような結果を出している仲間がいるんです。自分が頑張ったと思っていても、異分野で自分以上にもっと頑張っている仲間がすぐ近くにいる。やっぱり負けられないですよ。
——「モナコグランプリをヨットに乗りながら観戦したい」という将来の夢など、あけすけな発言は生意気にも聞こえますが、育ちの良さなのか、嫌味には感じられない。純粋培養されたおぼっちゃまですね。これは褒め言葉です。


