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「日本人は移籍金が安いからね」プレミアリーグ監督&スカウト部長らが語る”英国の日本人獲得ブーム”「”無名の”若手Jリーガーも狙っているよ」 

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田嶋コウスケ

田嶋コウスケKosuke Tajima

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posted2025/11/28 11:05

「日本人は移籍金が安いからね」プレミアリーグ監督&スカウト部長らが語る”英国の日本人獲得ブーム”「”無名の”若手Jリーガーも狙っているよ」<Number Web> photograph by Getty Images

U-22代表、11月のイングランド遠征。「とにかく今、日本人選手が欲しい」その現場で現地記者が聞いたこととは

「今回のボーンマス戦、日本は我々を苦しめた。よくトレーニングされていて、全選手のプレー判断が正確。いつボールを手放すか、どのタイミングで走り出すか。プレスの仕方も、本当に素晴らしい。一方、ボーンマスの選手たちは、日本のような組織的なプレースタイルに慣れていない。日本に圧倒され、特に前半は解決策を見出せなかった。ボーンマスの選手にとって良い学びになった。彼らが苦しむ姿を見て、私はとても興味深く感じた」

 試合には、他クラブのスカウトも訪れていた。ボーンマスのトレーニング施設で行われたため、プレミアリーグのクラブは来ていなかったが、イングランド2部のオックスフォード・ユナイテッドのスカウト部長が視察に訪れていた。同氏によると「U-20イングランド戦には、日本の選手を見るため多くのスカウトが来ていた」という。しかしボーンマス戦はオックスフォードUのみが来ており、スカウト部長は「俺はラッキーだ」と笑っていた。

 スカウト部長は、目を輝かせながら熱弁した。

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「とにかく今、日本人選手が欲しい。イングランド2部では、日本人選手が抜群の存在感を示している。昨季優勝したリーズの田中碧や、コベントリーの坂元達裕、QPRの斉藤光毅など、皆一様に素晴らしい。

 技術力が高く、ワークレートも高い。そして移籍金が非常に安いのが魅力だ。ポーランドなど東欧の選手、南米の選手よりも安い。だからこそ、チーム強化のためにぜひほしいんだ」

 では、オックスフォード・Uのスカウトの目に留まった選手は誰か。

「気に入った選手は2人いた。ひとりはインサイドMFの嶋本。2ゴールを決めたが、得点だけでなく技術とフィジカルの強さのバランスがいい。機動性も高く、ボールを受けてターンしたり、ターンからボールを受けたりと、身のこなしがいい。

 攻撃と守備のリンクプレーもスムーズにこなした。守備時には自陣のゴールまで戻り、さらにゴール前まで進んだ。戦術的にも技術的にもレベルが高い。前方にパスを出す視野の広さもあり、非常に良い選手だ。

 それと背番号2の梅木怜(FC今治)も良かった。前半は右SB、後半は左SBでプレーした。まず守備が粘り強い。1対1の局面での対応もしっかりしており、攻撃参加も効果的だった。万能性が高く、とても良い選手だ」

「彼らがプレミアに来られない理由はない」

 イラオラ監督から高く評価された小杉は「素直にうれしい」と語りつつも、「これから日々の積み重ねが大事。しっかり結果を残したい」と気を引き締めていた。謙虚な姿勢は嶋本も同様で、「嬉しいです」と笑顔を見せつつ、「これからも結果にこだわっていきたい」と語った。

 ボーンマス戦について、小杉が「自分たちができることの多い試合だった。もう少し内容的に圧倒しないといけない部分があった」と語れば、嶋本も「身体能力では相手の方が上かもしれないが、日本には組織力の良さがある。試合全体を通してよかった」と手応えを語った。

 選手たちが口にしていたのは、イングランド勢が相手でも臆することなく、むしろ「もっとやれた」という前向きな言葉だった。そして、その自信を裏付けるかのように、イラオラ監督や複数のスカウトたちから高い評価が寄せられた。イラオラ監督は最後にこう語った。

「今も、プレミアリーグには日本人選手が5人いる。今日、出場した選手たちはまだ若い。ならば、ここに来られない理由はない。プレミアまでたどり着いた先輩たちの後を追ってくるかもしれないね」

 3年後のロス五輪を目指すサムライたちは、イングランドで小さくないインパクトを残した。

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