テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「ヤマモト以外は登板可能」“いい意味で”裏切ったロバーツ監督も山本由伸も大谷翔平も…「負ける選択肢はない」WS敗退寸前ドジャースの底力
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byAP/AFLO
posted2025/11/27 06:01
WS連覇を果たしたドジャースにあって、山本由伸と大谷翔平の存在はあまりにも大きかった
フリー打撃前に大谷はキャッチボールでフォームを入念に確認していた。WS初登板の28日の第4戦では93球を投げ7回途中6安打4失点で黒星。そこから中2日の第6戦での救援登板の可能性を問われたロバーツ監督は、こう明言した。
「敗退のかかった状況だから、そういう話も当然しなければいけない。明日の試合に勝つためにできることは何でもやる」
いわゆる「大谷ルール」は救援での降板後にDHで残れない。そのためエンゼルス時代の2021年以来、4年ぶりの外野出場の可能性もある。指揮官は「明日は外野でプレーすることはない」とした上で「第7戦まで行けば、その時はあらゆる可能性について話し合う」と話した。
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普段通り「投手兼DH」で先発すればDHを解除する必要がないため、第7戦で短いイニングで先発する「オープナー」についても「全ての選択肢がテーブルの上にあるし、実際にそうするつもり」と繰り返した。打って、投げて、勝利に導く。頂点へ崖っ縁の状況で、何だってやる覚悟だった。
トロント2往復目でも“負ける選択肢はなかった”
10月31日の第6戦。主役はまたしても山本由伸だった。
「1週間で2往復目のトロントなので疲れは少し感じていた」
と本人は振り返ったが、初回1死一塁からブラディミール・ゲレーロJr.をカーブで三ゴロ併殺に斬るなど、3回までの47球のうち直球は2割に満たない19%に抑え、変化球で勝負した。3回に2安打などで1失点も、4回以降は直球を徐々に増やし目先を変えて6回5安打1失点。3試合連続完投は逃したが、ドジャースのポストシーズンのスローガンになった「Losing isn't an option(負けるわけにはいかない)」という自身の言葉を、負ければ敗退の一戦で体現した。
一方、これは運命の導きだと感じた。3−1で勝利して3勝3敗のタイに戻し、逆王手をかけた試合後のこと。
「第7戦について大谷とどんな話をしている?」
こう問われたロバーツ監督は「先発でいくか救援でいくか、その感触を確かめているところ。もうほぼ決まりかけている」と語った。複数の関係者によれば、球団は現時点で大谷に先発を任せ、最大5イニングを想定していることが分かった。
「ヤマモトを除く全投手が登板可能」
大谷はWS初登板の第4戦では6回0/3、93球を投げ6安打4失点で敗戦投手となり、打者では無安打だった。そこから中3日で迎える第7戦に向け「いつでもいけるように準備はしたい」と語っていた通り、この日の試合前もキャッチボールで最終調整。救援起用も検討されたが、現行の「大谷ルール」では降板後にDHで残れない。先発であれば降板後もDHを解除する必要がなく、「投手兼DH」として臨むことになった。

