テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「ヤマモト以外は登板可能」“いい意味で”裏切ったロバーツ監督も山本由伸も大谷翔平も…「負ける選択肢はない」WS敗退寸前ドジャースの底力
posted2025/11/27 06:01
WS連覇を果たしたドジャースにあって、山本由伸と大谷翔平の存在はあまりにも大きかった
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
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AP/AFLO
テオスカー「明日、ショウヘイはミスしないよ」
ワールドシリーズ(WS)第6戦前日の30日、大谷翔平は敵地トロントのロジャーズ・センターで今季3度目のフリー打撃に臨んだ。その3セット目に右翼5階席に届く推定飛距離150メートル弾をかっ飛ばすと、4セット目には驚異の柵越え5連発を見せた。
「Atta boy' Sho!(よくやった、翔!)」
デーブ・ロバーツ監督が声を響かせた。
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左翼を守っていたテオスカー・ヘルナンデスが「俺のところへ打て!」と叫ぶ中、大谷がノーバウンドで“捕らせる打球”を打ってナインが盛り上がる場面もあった。練習後、報道陣に囲まれたテオスカーは声をあげた理由を「ちょっと彼にとって普通の時間を過ごさせてあげたかったんだ。僕らにとっても、それが普通のことだからね。翔平の打撃は凄く良かったよ。ただ、彼がいつも通りの時間を楽しめるようにしたかっただけさ」と説明した。
4セット目は1本目から5連続柵越えだったが、テオスカーが“野次”を送った瞬間にストップ。「いいんだよ。明日は彼はミスしないよ」と話すテオスカーは、かつてブルージェイズに所属していた。それだけに「ここは打球が凄く飛ぶ場所だけど、翔平が打てば、どこでも飛ぶさ。ここだけじゃない」と笑っていた。
「勝つためにできることは何でもやる」
チームは第5戦終了後の深夜便でロサンゼルスから空路、約5時間かけてトロントに移動した。疲労を考慮して練習は自由参加だったが、投手、野手含め全員が顔をそろえた。
大谷はシーズン中に回避していたフリー打撃を行う理由について「自分のスイングと実際に飛んでいる打球の質感。打球の感覚によって自分が正しく構えているか、正しく振れているか(の確認)が一番」と語っていたが、この日は28スイング中、半数の14本の柵越えを披露。その後の爆発につなげた過去2度のフリー打撃とまたもや同数だった。
負けたらWS連覇の可能性が潰える状況。大谷自身も第4戦から2試合連続無安打だったが、笑みを浮かべて状態の良さをアピールした。

