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“日本最難関”東大の水泳部で「ある異変」…まさかの“日本インカレ9人出場&準優勝スイマーも出現”の衝撃「選手が続々覚醒」で過去最強になったナゼ
posted2025/11/25 11:01
言わずと知れた日本の最難関大学である東京大学。その水泳部競泳チームが躍進を見せている理由は…?
text by

別府響Hibiki Beppu
photograph by
BUNGEISHUNJU
「あれ、俺……2番? そんなわけないよな?」
9月に行われた競泳の日本インカレ。100m平泳ぎの決勝を終えて、松本恭太郎はふとそんなことを考えていた。
掲示板にはすでにレース順位が表示されている。ただ、視力が悪い松本には、その結果が判然としない。ただ、うっすらと名前の文字数を数えるに、どうも自分は2番目に表示されているような気がする。
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学生日本一を決める大舞台、中には日の丸を背負うような選手も多い。そんな中で自分が2位に入ることなど、ありうるのだろうか――?
そんなことをつらつらと考えているうちに、アナウンスでも「松本恭太郎、2着」が正式に発表された。ふとプールサイドに目を向けると、大学のチームメイトたちが狂喜乱舞している。
「ほんとに2番だったんだ」
それを見て、ようやく松本にもそんな実感が湧いてきていた。
この松本の「日本インカレ2位」という結果は、方々で大いに注目を集めた。
理由の1つは、松本が昨年パリ五輪女子200m個人メドレー代表の松本信歩の弟だったこと。そしてもう1つの理由は、松本が東京大学の学生だったことだ。
日本で最難関の国立大学に所属する選手が、日本学生No.1スイマーを決める舞台で2位に食い込んだのだ。メディアとしても大いに興味深いケースなのだろう。
準優勝の松本を筆頭に…日本インカレに10人近い選手が
ただ、これが松本ひとりであればある種の「個の突出」という話でもある。
学業優秀な学生が、たまたま水泳の才能を抱え、そのうえで日々の弛まぬ鍛錬の結果、日本の頂点付近までたどり着く――それはもちろん特筆すべきことではあるが、過去に例のない話ではない。
一方で、近年の日本インカレでそれ以上に衝撃的だったのは、その東大から松本だけでなく実に10人近い選手が日本インカレに出場していたことだ。選手だけなら30人に満たない部員数である東大水泳部の規模を考えれば、これは驚異的な割合と言っていい。

